LUNKHEAD曲解説ブログ,  青に染まる白

無限光 おだかす

無限光は家ですごいベロベロに酔ってる時に
0:18からのギョワ~!!っていうギターリフが浮かんで
うわーこれちょっと発明じゃない!??
と一人で興奮してた。
このリフ、っていうかリフっていうのか?これ。
でもめちゃくちゃカッコよいと思うのですが。
そして、ギター弾けない人でも多分弾ける。
で、リフから膨らませて曲を作り
そこからデモを作って
いつものようにみんなでスタジオでアレンジを練っていった。
頭の俺と壮のアルペジオに
悟と桜井さんが絡んでくるアレンジは
デモの段階ではなくて
スタジオでセッションしながら思いついたんだけど
とてもスリリングでカッコよい。
2サビ後の2:30あたりからの感じは…
完全にナンバーガールだな…
ベースのルート弾きにギターがキャキャキャと入ってくるところとか…
アウトロの壮の爆破ギターなんかはもう
変態じみてて、最高だと思う。
悟もいつもどおり変態だし
俺もわざとスケールアウトしたバッキングを弾いてたり
全体的にとてもカオスな曲になった。
けど一番すごいのは桜井さんで
ずっと叩いてるって表現、いやそりゃどの曲もずっと叩いてるんだけど
桜井さんサボれるところが全然ない…
やっぱね、曲の中でも
ここはちょっと休めるな、みたいなところあるわけです。
俺もこの曲全然休めるところがないし
サビはずっと限界ギリギリで超つらい…
珍しく言葉数も多いので余計に疲れる。
同じ高音のキーでも
ア~~~~~~~~~~~~~~~!!
って伸ばすだけと
パピプペポピプペポパプペポパピ~!!
って言葉を発音しながら音をキープするのとじゃ
しんどさが全然違う。
でもまあ最初から最後までずっとヒリヒリの緊張感しかない曲だから
みんな疲れるだろうなあ。
あまり(というかほぼ)ライブでやってないけど
改めて聴くとかっこいいなあ。

どうも、歌詞が哲学的になりすぎて
全然ウケなかった。
無限光なんて言葉、知ってる人ほぼいなかったよね多分。

無限光とググると
ウィキペディアには生命の樹という項目が最初に出てくる。
旧約聖書の創世記にエデンの園に植えられた木なんだって。
無限光は曲としては「むげんこう」と読むけど
歌の中では「アイン・ソフ・オウル」と歌っている。
アインからアイン・ソフが生まれ、アイン・ソフからアイン・ソフ・オウルが生まれた。
ってことらしい。

けども俺が無限光という言葉を知ったのは
その時読んでいた宇宙の本だった。
宇宙って突き詰めると結局
宗教だったり哲学だったり妄想だったりの話になってしまうので
そういう言葉や理論や概念が宗教とかぶるのは
仏教にもあるしいろんな宗教にもあるけども。

とにかく俺がその本で読んだのは
(だいぶ記憶があやふやだけど)
最初にあったのは、あったのは、というのもおかしいか
最初は「無」すらなかった。
無すらない、という状態がどんな状態なのか
考えれば考えるほどラリパッパである。
無すらないってどういうこと?
例えば空気がないというと
そこには「真空」が存在する。
光がないというとそこには闇が存在する。
何もない無にすら「無」が存在する。
それすらもないってのはもう究極に何もない。
時間も素粒子も本当に何もない。
そこにまず「無」が生まれたそうで。
どうして?どうやって?
今の人間の知識ではどうにも解決できないことを
ゴッドストライク(神の一振り)というらしい。
(FoZZtoneのワッツァライに教えてもらった)
地球に生命が生まれた理由も
どうやっても今の人間の力では解明できないらしい。
そしたらやっぱもう
オカルトでも何でもなく突き詰めたら
神様がいるとしか説明がつかないってことになっちゃう。
とにかく神の一振りによってまず
無(アイン)が生まれ
そこからさらに
無限(アイン・ソフ)が生まれた。
ここで無のゆらぎって現象が起きたとされてるそうで
なんすか?無のゆらぎって。
無と有の間をゆらいでたそうです。何かが。
そして無限光(アイン・ソフ・オウル)が生まれる。
いわゆるここがビッグバンと言われるポイントで
ビッグバンというと結構たくさんの人が
その名のまま大爆発が起きて宇宙ができたと思われているけど
実際は10の-34乗センチメートルという
今の宇宙で、これ以上細分化できない
最も小さい物質である素粒子よりもはるかに小さい状態だったそうです。
と思って今調べなおしたら
今の宇宙理論では
宇宙が生まれた瞬間からビッグバンまでには
10の-33乗秒の時間があって
宇宙が生まれた瞬間がビッグバンとは言わないみたい。
宇宙が生まれてからまず10の-44乗秒後にインフレーションという現象が起きて
ものすごく高密度、高エネルギーの火の玉になり
この時に今宇宙を形成している物質の基になった素粒子やエネルギーが生まれ
その間にも宇宙空間は大膨張していき
10の-33乗秒後にやっとビッグバンが始まったんですって。
そうやって無と限と光が生まれて
宇宙は大膨張し続けていて
その効果で少しずつ宇宙は冷却されていき
素粒子は陽子や中性子になり、原子が生まれ
星ができ、それが銀河になり
地球が生まれ
138億年経った今
俺らがこうやって嬉しかったり悲しかったりしながら生きてる。
そして俺らが宇宙の歴史の中のほんの一瞬を生きて、消えて
そしてその宇宙もいつか終わりが来る、と思うと
もう本当にものすごい瞬間を
俺らは生きてるんだな、と思うんだけど
この話、悟にしたら2秒で嫌がられるなあ。
そういう妄想で書いた歌詞でした。
10の-33乗というと
0.000000000000000000000000000000001
というものすごい小さな数字だけど
もし俺らの体感時間が今の1秒が今の1秒じゃなく
10の-41乗秒だとしたら?
10の-33秒という時間は今の俺らで言うと3年ちょっとの時間に感じるわけです。
俺らがアリを見ると小さいけど
アリが俺らを見ると大きい。
大きさも時間も相対的なものであり
10-33秒が一概に短い、というわけではないということです。
刹那が孕む那由多、那由多に潜む刹那
っていう歌詞はそういう意味を歌ってます。
ただ、歌詞読み直してて
ほとんどの人にとって、なんのこっちゃ?って歌詞だなあ…と我ながら思う。
歌詞集を買ってくれたみんなが
この曲に何度も救われた、とかたくさん
SNSで発信してくれてるけども
無限光で救われたって人は…おらんだろうな…