LUNKHEAD曲解説ブログ,  青に染まる白

十六夜の月の道 おだか

十六夜の月の道はリフからできた。
リフからできてそのままパパパパ~とできていった気がする。
俺が作った曲にしては珍しくAメロからキーが高い。
全体的に和音階というか
雰囲気的には初期の頃のLUNKHEADのテイストを
今のイケイケのLUNKHEADでやってるっていうか
そういう感じのする曲。
歌詞がアンニュイな割にライブでたいそう盛り上がる曲になった。
歌詞がアンニュイな割にライブで盛り上がる曲と
歌詞がアンニュイなためにイケイケな曲なのに盛り上がりはそうでもない曲とあるんだけど
こればっかりは世に放ってみないとわからなくて
毎度ドキドキするんだけど
傾向としては演奏がバッキバキな曲は
やっぱり盛り上がる曲になる気がする。
(バッキバキじゃない曲もそんなにないけど…)
潮騒なんかはテンポもそんなに早くないし
あんなに盛り上がる曲になると思ってなかった。

十六夜の月の道は
もう全員一丸となってバッキバキ。
一番の聴きどころはやっぱり間奏のギターソロかなあ。
壮と俺が一音ずつ交互に弾くという
これ、実は螺旋のイントロの最後でやりたくて
でも当時は技術的にどうしてもうまくいかなくて
俺が弾いたひとつのフレーズを左右に一音ずつぶった切ってパンするっていう
螺旋はそういう手法をやむなく使った。
でもどうしてもあれがやりたくて
十六夜で頑張ってデモを作ったら
デモを聴いた壮が爆笑してた。
当時、俺ら新居浜の盟友regaと対バンした時
ギターの竜二が
「先にやられた~!」
と賛辞してくれた。
regaは新居浜が誇る超絶インストバンドで
ギターの掛け合いがもう本当に素晴らしい、大好きなバンドです。
そのバンドに先にやられた~!なんて言われたらめちゃめちゃ嬉しいのです。
ちなみにregaはなんと同い年。
しばらく活動休止してたんだけど
最近復活して、ライブが見たい。ていうか対バンしたい。

で、この間奏、よく聴くと最後の方悟までユニゾンで乗っかってきている。
で、そのままベースソロになって
一瞬ヒュッと狭くなってまたババババ!!っとバンドが戻ってきて終わる。
この流れ、我ながらたまらぬ。
これは、コピーしたら相当楽しいはず。
最後まで息も忘れる展開展開展開の嵐~!!

歌詞はなんていうか
曲の激しさとは一変
月夜の道を歩いてる男女の光景を
ひたすら描くように書いた。
ひとりごととか、三月もそうだし
最近だと月明かりに踊る君を僕はただ見ていたとか
空中線とかも
自分の根幹に
悲しみや傷を抱えた人に対しての
自分の無力感というか
自分に何かできるなんて思い上がるなよ
と、思う気持ちと
それでもただ、そばにいたい、祈るだけしかなくても
みたいな気持ちと
そういうのが常にあって
誰かの悲しみを簡単にわかった風でいたくないけど
けど、それでもそばにいさせてくれるのなら
それで少しでもあなたの痛みが楽になるのなら
何も聞かず馬鹿みたいに黙って突っ立ってたいと思うのです。
なかなかね、四六時中誰に対しても
そんな風に思えてるほど出来た人間じゃないけど。

あなただけを月よどうか照らせ

って歌詞が、なんか好きで
あなただけを照らすわけないんだけど
そう思っちゃうくらい他に何も祈れない
無力なんだけど、でも祈ってる感じが。

歌詞が書けて十六夜の月の道というタイトルにしたいと言った時
メンバーも直球の人間も(その時6人くらいいたのかな)
誰も十六夜が読めなくて、ちょっと信じられなかった。
どう生きたら十六夜も読めない人生になるのだろうかと本気で思った。
これは多分誰も読めないから歌詞カードにルビをふると言われて
こんなん普通に常用漢字レベルだろ!と言ったら
知識を自慢すんなぐらいに総スカンを喰らった。
なので、本当に非常に不本意だけど
歌詞カードの十六夜にはルビがふられている。

みんな本当に十六夜って読めないのかなあ?
少なくともTHE BACK HORNのファンなら全員読めるはず。