LUNKHEAD曲解説ブログ,  V0X e.p

echo

echoはV0Xの中で唯一
AT0Mを作った後にできた曲で
V0Xのために書き下ろしたわけでもなく
ただふわっとできて
例により、たまにある
詞と曲が一緒にできるやつです。

確かAT0Mツアーファイナルの次の日に
下北沢GARDENで龍主催のオールナイトイベント
SLOW NIGHTを後夜祭的にやった時に
俺は弾き語りを頼まれて
そこでアコギ一本で歌ったのが初披露だった。
ただその日、前の日のワンマンでやりすぎて声が死んでて
カスカスでまったく聴けたものじゃなかったと思うんだけど
それでも龍がすごい感動してくれて
V0Xのリード曲はechoがいいと言ってくれた。
やっぱ移籍第一弾だし景気のいい曲の方がいいだろう、と
結局WORLD IS MINEになったんだけど。

自分にとっては、特別な曲です。

もしもあなたを抱きしめたら
この身が灰になってしまうというのなら
僕はその時この世界で
いちばんいちばん幸せな灰になるだろう

多分、もう一生俺は
この歌詞以上に優しくて強い言葉は紡げないんじゃないかと思う。

そう思うし、だからこそこの言葉を紡げて良かったと思う。

歌も自分至上最も優しく歌えたと思うんだけど
これはもう、ラブ・ソングで江口さんに教えてもらった
俺の知らなかった俺がめちゃくちゃ生きてて
江口さんにラブ・ソングをプロデュースしてもらってなかったら
このechoはできなかったと思う。

アレンジもみんなですごく頑張って
全員が一丸となって
溢れそうな感情を押し込めるようなエモさっていうか
淡々としてるんだけど激情な感じっていうか

頭のチキチキした打ち込みは俺が作って
アコギのアルペジオと組み合わせてるんだけど
ここまで打ち込みを前面に出してるのは初めてかな
なんか、この機械的な冷たいトラックに合わせた方が
より歌詞と声の温かさが生きる気がして
寒い冬の夜のあったかい缶コーヒー的な?

だんだん熱量が上がっていって最後
山下君のぬくい福音のようなギターで終わるっていう。

2Aのギターダビングをしてる時に
山下君がずっと
ンッペッペペッペッペッペペッペ
ってマヌケなギターを弾いてて
この人は一体何をしているのだろう…?と思ってたんだけど
混ざったら大丈夫だから、と言われて
ほんまかあ?と半信半疑でいたら
確かに混ざったら、人と機械の間を繋ぐ
まるでそば粉を繋ぐ山芋のような絶妙のフレーズでめっちゃ良かった。

エンディングのカオスなところとか一体何本ギター重ねてるんだろうか…
ベースも普通のルートじゃなくて凝ってるんだけど
修行のように同じフレーズを弾いてくれてて
このベースがめちゃくちゃ効いてるんだよな。

タイトルを結構悩んで
悩んだ末にechoがいいと思って
echoは共鳴って意味なんだけど
なんか、いつもなら俺ら二字熟語のタイトルが多いので
共鳴にしてしまいそうなんだけど
共鳴だと強すぎる気がして
echoっていう言葉の柔らかさ、余韻感がいいなと思って
あんまりアルファベットのタイトルないんだけど
echoは気に入ってます。
ECHOじゃなくてechoなのも
echoの方が柔らかくてかわいい感じがして。
この頃、山下君、echoってタバコ吸ってたなあ
全然関係ないけど。

V0Xっていうタイトルは結構早い段階からあって
(ちなみにAT0MもV0XもOが数字の0表記なのです。話せばそんなに長くもない理由があります。)
V0Xは、声って意味で
AT0Mは原子
確かにそこに在るもの
その対比で声、V0X 存在しないもの
声をキーワードにしよう、ってことで
なのでV0Xに収録されている曲の歌詞にはすべて
声、という言葉が出てきます。

で、echoのタイトル考えてて
声、声、こえ…コエ………エコー………
ってechoにたどり着いたっていうか?みたいな?

(Vo.G.小高芳太朗)