LUNKHEAD曲解説ブログ,  V0X e.p

朔日

朔日は第二のインディゴを作ろう!というコンセプトで作っていった。
結果、イマイチ定着しなかった。。
朔日やってほしいって声も多いしボビーも好きな曲だったんだけど
リリース後のボックストリートボーイズツアーでの反応が
それほどでもなかったというか…
歌詞が怠惰すぎたのか
インディゴが育ちすぎたのか
こればっかりは世に出てみんとわからんから
本当に難しい。
めっちゃかっこいい曲ですけどね。
凝ってるし。
曲の最後の打ちっ放しのコードが
コードネームが例によりよくわからないんだけど
A79、的な?
4弦2フレを押さえて6弦ミュートのあと全部開放弦
ラミソシミ
とてもアンニュイな響きで気に入ってる。
これそのままAメロでも使ってて
AメロのコードのルートはA→F→G→Fなんだけど
ずっとソシミが鳴ってて
それがあの気怠い感じを出している。
これが普通にAm→F→G→Fで弾くと
朝だー!起きよー!今日も元気にがんばるぞー!!
みたいな感じになっちゃう。
あと最後サビの、それでもまだ生きてる、のところ
Am→G#M7→G→D7/F#
と畳み掛けるように攻める階段コード進行とか
最後サビ折り返しからの死にたくなる青空のとこだけ
Fadd9→G→Aになってるとことか(他はFadd9→G→Am7)
個人的にはオシャで気に入ってるんだよなあ。

それと間奏
一応、ギターソロなんだけど
それと同じぐらい(それ以上?)悟が弾きまくっていて
もはや誰のソロかわからない。
後ろでは俺がずっとピックスクラッチしてるし
カオス!!
それが突然悟と壮の高速ユニゾンで戻ってくる。
何かでも言ったけど
アレンジしていく上で混沌からの着地のバランスはいつも気にしている
んだけど…
この突然の性格無比な高速ユニゾン、めっちゃくちゃ難しいと思う…
何ていうか、壮と悟は
別の楽器だし、口には出さないけど
ライバルというか
プレイヤーとして、お互い「負けねえよ?」と思いあっているのを
横で見ていて感じる。
それは互いにリスペクトしあっている証だとも思う。
だから俺も歌で負けられんと思ってやってきた。
だって、一応歌が真ん中にいなきゃじゃん。
歌が脇役だったらダメじゃん。
けど一瞬でも気を許すと殺られる。
まさにバンド内戦争。
俺らはそうやって個を高めあってきたと思う。

朔日は本当は「ついたち」と読んで、そのまま意味は一日、始まりの日。
けど「さくじつ」と読むと昨日ともかけられる。
ついたち=さくじつ=朔日=昨日
今日から変わるんだって昨日も言ってたんだっけ
っていう歌詞をタイトルにかけてる。
めちゃくちゃ怠惰極まりないタイトルです。
でも気に入ってる。意味も含めて。

荘子の有名な言葉で

私は夢の中で蝶になっていた。
私は生き生きとした蝶だった。
しかし目がさめると私が私であったと気づく。

私が蝶の夢を見ていたのか
蝶が今私になっている夢を見ているのか。

っていうのがあって
屁理屈みたいな話だなと知った当時思ったけど
このお話は俺みたいなやつにはわからん
最終的には全ての存在は優劣がなく等しく同じ価値だっていう
ぶっ飛んだ真理にたどり着くんだけど
(ものすごい想像力!!)

とにかく、
俺が蝶の夢を見てるんじゃなくて
蝶が俺の夢を見てるんだとしたら
もうちょっと、マシな夢見てくれない?
大金持ちになるとかさ、バンドがめちゃくちゃ売れるとか。
と、いつも思う。

あと、絶望的に晴れ渡った死にたくなる青空って歌詞
青空って結構ポジティブな表現として使われることが多いのに
LUNKHEADの歌詞は、突き放す暴力的な正義、みたいな意味が多い
と、たまに言われるけど
朔日に関してはちょっとエピソードがあって

歌詞書いてる時に、友達の某カメラマンが
地獄のような失恋をして
ズタボロの状態で夜中うちにやってきて
一晩中酒を煽りながら慰め続けたことがあって。
西原なんだけど。
そんで帰りますって言った時にはもうめっちゃ朝で
これまた気の毒なくらいに
この世界のすべてを祝福しているかのような
清々しい晴天で
西原は恨めしそうにそんな空を仰いで
「晴れてますねえ…」
と一言呻いて、そして帰っていった。
そのまま光の粒になって消えてしまいそうだった。

そうやって
絶望的に晴れ渡った死にたくなる青空
という歌詞は生まれた。

西原が撮ってくれた数々のアー写↓
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(Vo.G.小高芳太朗)