AT0M,  LUNKHEAD曲解説ブログ

それでも血の色は鉄の味がした

ナンバーガールナンバーガールと言ってるけど
実は洋楽で一番好きなのがシガーロスで
来日した時は武道館まで見に行ったほど。
元々、親の影響もあってあんまりうるさい音楽が好きじゃなかった。
カーペンターズやサイモン&ガーファンクルが好きだった。

シガーロスはアイスランドのバンドなので
北欧のバンドあるあるで、初期の頃は気の長い曲が多い。
曲自体が長いし(10分とかザラ)、曲によっては曲に入るまでに1分以上かかったりする。
リズムもまったりしてるし。
きっと、寒くて家の中でじっとしてる北欧の気候がそうさせるのだろうなあ
と、独断と偏見で思ってた。

それが、残響というアルバムで完全にシガーロスはポップに開眼した。
それも売れ線狙いっていうんじゃなく
なんかとにかくそれまでと全然違うんだけど
それは自然なことだったんだろうなっていうか
パッカーン!って感じ。
なんてったって
ジャケットが、全裸の人たちが晴れ渡る大草原を走ってる写真だし
そのまんまの感じというか
解き放たれた感覚だった。
どっちも好き。

その1曲目のGobbledigookという曲が
リズムがとても面白くて
よくドラムの素質チェックで
左手で4拍子叩きながら右手で3拍子叩く、みたいなのあるけど
アコギの4分のストロークで始まって
そこにドラムが3拍子で絡んでくるんだけど
それが気づいたらドラムが4拍子になってて
アコギが付点四分にすり替わってるっていう。
狐に化かされたみたいな曲で
うわー!!すごいなー!!と思って
こういうリズムの曲作りたい!!って
そこから始まってできたのがまさかの
それでも血の色は鉄の味がした、だった。
どこが??って自分でも思う。
で、曲ができてスタジオでアレンジを練ってる時に
いろいろ試行錯誤してたら
だんだんドラムとギターが逆転してきて
最終的にはギターが八分刻みで
そこにリズムがダドドダドドダドと三連ぽい感じで絡んでくる形に変わった。
もはやシガーロスでもなんでもないけど
とにかくGobbledigookという曲がなければそれ血は生まれなかった。
(メンバー間では略してそれ血と呼んでる)
サビのメロディの音数が少なくて
ボビーはそれが気に入っていた。
(サビは音数が少なければ少ないほど良いと言っていた)

あと、間奏が抜群にかっこいいのよ。
珍しく、ギターソロじゃなく
全員一丸のアンサンブルで攻めていく曲で
俺も珍しく結構弾いてて
ギターって技術の前に手の形とか指の長さとかで
かなり手癖が変わってくるので
山下君は俺の1000倍ぐらいギターうまいけど
小高のパート弾けんわ、と言っていた。

ただ、ここの悟のフレーズがどうも
シャ乱QのMy Babe 君が眠るまで
のサビメロのフレーズに聴こえて笑っちゃってた。
慣れたけど。

リフのギターには俺も山下君もコーラスっていうエフェクターをかましてるんだけど
これはもう完全に田渕ひさ子イズムというか
TATOOありとかNUM-AMI-DABUTZとかのあのサウンドの影響がモロです。

歌詞は、なんていうか
手のひらのマメがぽろっと取れるような
その取れたマメを眺めてるみたいな
そんな歌詞だと思う。
(高校の弓道部時代はよくマメがぽろっと取れてたもんだ…)
なんでもないっていうか
幽体離脱して自分で自分を俯瞰しているような。
虚無的な感覚。
血の色は鉄の味がした、って表現を
よくわからんとか、文学的とか
当時よく言われたけど
(メンバーにも言われたけど)
あんまり意味はなくて(あるけど)
メロディに歌詞をはめる字数の制約の都合上
それでも血の色は鉄の味がした
って歌詞になって
それをそのままタイトルにしたっていう。
なんかかっこいいし。

敢えて言うなら
日本橋ヨヲコ先生の漫画の中に
血よりも赤い色
って言葉がよく出てきて
それが自分の中でとても印象的で
血、と言うより
血の色、と言った方が
より鮮やかな赤を想起させるかな?と思ったのでした。

Aメロで弾いている俺のフレーズのスケールがとても気に入っていて
これはカッコええスケールやなーと、いつかまた使いたいと
それが実はやがて時を経て
存在?のリフに繋がっていくのです。

(Vo.G.小高芳太朗)