LUNKHEAD曲解説ブログ,  孵化

こころ

こころは
曲ができた時
これはもうリードかな?
と、正直思った。
そのくらい会心の曲ができたと思った。
ドロっとしたイントロからのAメロ
からのパッカーン!!としたキャッチーなサビ
歌詞も音と絶妙に合ってて
これはめっちゃええ曲ができたぜ~!!
と、俺は思った。
アー担の菊地さんも
こころいい曲だわぁ~
と言って、こころを推してくれていた。

ところがどっこい
結局アルバムのケツ2の曲におさまり
アンニュイなイントロがアレだったのか
ライブでも大して盛り上がらず
気づけば全然ライブでやらなくなってしまった。

実は、詞もメロディもアレンジも
めちゃくちゃ気に入ってる曲なんだけど

そういう曲、ありますよね~

この曲、ちょっと面白くて
イントロで壮が弾いているフレーズに
俺が上の方でフレーズを重ねて二人でひとつのフレーズみたいになってる。
たまにこういうのがある。
その間5メートルとか。
で、ここでいちばんキモなのが
俺がイントロで一音めに弾いている音
コードはadd9風味のAmなんだけど
ここにいきなりF#が入ってくる。
Cメジャースケールなので
F#は完全にスケールアウトしていて
ほんとならダメー!なはずなんだけど
このF#が絶妙にイントロの不安な感じを出してて
このフレーズが浮かんだ時に
やったぜ!!
と、思わず思った。
そして面白いのが
アウトロで壮が弾いているフレーズが
イントロとまったく同じだということ。
イントロだと俺のフレーズと相まって
なんかドロドロとしたフレーズに聴こえるのが
アウトロだとなんと爽やかなことか。
これぞアレンジの妙。
不思議だな~。
個人的にはこれがすごく良くて
イントロとアウトロで同じフレーズが鳴ってて
それがまったく違う印象で聴こえるっていうのが
歌詞の主人公と重なって
それこそ、主人公のこころが
こころ自体は変わらないけど
感じる想いや見える景色が変わっていくみたいで
それがとても良い。

あと何故か1サビ後のリイントロの部分が
俺のギターソロみたいなアレンジになっている。
これ、あれだな。
完全にナンバーガールというか、田渕ひさ子というか
なんならI don’t knowというか。。

シンプルな構成だけど
ドロっとしたイントロを忘れるような爽快なエンディングで
聴き始めと聴き終わった時の印象が全然違って
短編小説を読んだような起承転結感が
とてもよくできてると思うんだけど
何故か埋もれてしまった。
存在自体も半ば忘却の彼方に追いやられた。
いつもツアーの中でのべ100曲くらい俺らやるんだけど
候補にすら入らなくなってしまった。

ALL TIME SUPER TOURの仙台でやるために
久々に聴いて
そしてまったくもってすっからかんに忘れていたので
耳コピから始めたんだけど
良い曲ですなあ?

最後サビの煮え切らない感じが好きです。

こころで笑うことを教えてもらったのに
気づかせてくれたのに
ちっぽけな俺らはまた
つまんないことでくよくよして
忘れて動けなくなっちゃう。

けどまたその度に気づけばいいじゃん。
何回でも。
生きてる限り。

そのことに気づけたっていう。

 

(Vo.G.小高芳太朗)