LUNKHEAD曲解説ブログ,  素晴らしい世界

LUNKHEAD入場のテーマ

ライブのSEは、同じ曲をずーっと使うバンドもいれば
定期的に変えるバンドもいる。
俺らも何度かSEを変えてきたけど
LUNKHEAD入場のテーマを作ってからはずっと変わってない。
LUNKHEAD入場のテーマ作ったのもう11年も前なのか…

東京でLUNKHEADが始まった頃のライブのSEは
俺の独断で燃えよ!ドラゴンのテーマだった。
俺は好きだったんだけど
どうもメンバーは恥ずかしかったみたい。
ここは音楽に詳しい壮にSE番長になってもらおうということになり
壮が選んだ曲はThe Stone RosesのBegging Youという曲だった。
この曲、めちゃくちゃカッコイイので気に入ってたんだ。
そこからメジャーデビューしてしばらくするまではずっと
4年くらいかな?
Begging Youを使っていた。

俺のボイストレーナーの佐藤涼子先生は
2003年の秋くらいに出会ったんだけど
今や先生自体が有名人だけど
その頃からめちゃくちゃすごい人達を教えていたのに
なぜかヘタクソの俺のこともLUNKHEADのこともとても気に入ってくれて
2004年の秋くらいに涼子先生が初めて開催した自主イベントに
なんとLUNKHEADを呼んでくれた。
湘南乃風、ミンミ、175R、cune…
テレビで見てた人達の中に突然デビューしたてのペーペーバンドが…
きょきょきょ恐縮です…
で、そこで発覚してしまった。
なんとcuneのSEもBegging Youだったのだ…!!
cuneというともう売れっ子の大先輩
これはマズい…これはもう俺らがSEを変えねば…
と、へりくだりまくりまクリスティな俺らはSEを変えることに。

そして山下番長が次に選んだ曲は
ジミ・ヘンドリクスのCrosstown Trafficだった。
宇宙っぽい曲からいきなりズブズブのロックに。。
LUNKHEADのSEといえばこの曲のイメージって人結構いるんじゃなかろうか。
そんでCrosstown Trafficもここからずいぶん使った。
LUNKHEAD入場のテーマを作るまでだから
4年くらい。

そして事件が起こった。

AXのワンマンをDVDにすることが決まったのだ。
しかし、他人の曲をDVDに使うと著作権使用料が発生する。
なのでなんと!
ただでさえAXワンマン、しかもそれがDVDになる
そんな緊張せんわけないライブでなんと!
登場SEなし!!
余計に緊張するやろ~!!!

ってことで
これはもう!SE自分らで作るしかない!!って話になり
そして作り始めたのがLUNKHEAD入場のテーマってわけです。
ああ長かった。

で、さあじゃあSE作ろうってなったはいいものの
SEってどうやって作ったらいいの?
と、いきなり暗礁に乗り上げ
メンバーみんなあたまポカン
うーん、曲を作るのとまた全然違うしなあ…
と、なんとかかんとかセッションで生み出したのが
ライブだと俺らが登場するあたりの1:14秒あたりからの
ダダーダダーダダーダダーっていうところ
そこから色々肉付けしていってなんとか構成を考えたけど
レコーディング本番の時までめちゃくちゃ漠然としていて
正直、どうなるんじゃろな?と思っていたんだけど
エンジニアの佐藤さんはこういう曲大好きで
めちゃくちゃアイデアくれたし
こちらのアイデアも神の速さで完璧に理解して再現してくれた
この曲、半分は佐藤さんが作ったと言っても過言ではない。
完成したやつを聴いた時、いやこれはめちゃくちゃカッコイイなと。

全体的にメインフレーズになってる
シーーーーラーーレーーシーー
っていうフレーズも
シンセパッドだったりストリングスだったりフェイザーをかけたギターだったり
楽器を変えることで飽きさせずかつ無意識に印象づくようにしてるのさー!
頭のぴよぴよした音は
レコーディング本番で佐藤さんと一緒に作った音も入ってるんだけど
こういう風にしたいって事前に壮と作っていったデモの感じが良かったので
佐藤さんがそれも使おうよ!って言ってくれて
なのでそれも入ってるんだけど
当時俺ら誰もちゃんとした音楽編集ソフト持ってないし
オーディオインターフェイスっていう、PCと楽器をつなぐ機材も持ってなかったので
シールドの先っちょに、あの端子が細くなるやつありますやん?
ヘッドフォンをポータブルプレイヤーにつなぐ時に使うアレ
アレをつけて山下君ちのMacのマイク端子に直接ぶっこんで
ガレージバンドでレコーディングしたなんとmp3音源なんです。
あれは、シールドをギターにつながずにマイク端子につないで
反対側の先っちょを触るとノイズが鳴るんですが
間にアナログディレイとかデジタルディレイとかを繋いで
ディレイタイムをいじるとああいうぴよぴよした音が出るんです。
極光の間奏で俺がやってるのも同じ原理です。
佐藤さんはこれを操縦と呼んで、でまた操縦がめちゃくちゃうまいし
機材もいっぱい持ってるんだけど
こういうのはもう縁というか運みたいなところもあるので
mp3だけどあれいい感じだから使おうよ!と言ってくれたってわけ。

全体的にE7スケールだけど
1:31秒くらいでF7に転調して
さらに1:40でDに転調する。
けどこのDの時に鳴ってるダダーダダーダダーダダーは
レミーレミーレミーレミーなので
E7の時と変わらない。
なのでDからE7に戻る時
一聴転調してないように聴こえる分
どっしりと重心が下がってドスが効いたように感じる。
ちなみにそのキーがDの1:40からのちょっと開けた感じのところの
レミーレミーレミーレミーは実は
みかんみかんみかんみかんって歌った声をボコーダーで加工してて
あえてあんまりわからないようにしたんだけど
よ~く聴くとみかんみかんみかんって聴こえると思う。
最初入れたいって言ったらメンバー嫌がったけど
こういう遊び心も佐藤さん大好きで
ノリノリで絶妙なさじ加減でやってくれた。
わかる人にだけわかるっていう仕掛け。

D.W.ニコルズの大ちゃんに
LUNKHEADの曲で一番カッコいいのはSEって言われるくらい
カッコいいSEになったと思う。
そこから11年、何度かSE変えない?って悟が言ってきた気がするけど
これ以上のもの作れる気がしないので変えてない。

ただ、
他人の曲だとDVDにした時に著作権使用料が発生するから
という理由で作ったLUNKHEAD入場のテーマ
原盤権はビクターにあるので
今の俺らにとっては他人の曲になってしまった。
こないだのリキッドワンマン生配信も
SEの時だけ警告がきてたらしい(SEだけは音源のままだから感知されたみたい)
皮肉なものだなあ。

そんなわけでまたいつか作る時が来るのかもしれない。

あと、一番最後のダッダッドッドッデッデッで終わるところ
偶然なんだけどGDAなのでした。
スタジオでアレンジしてた時
壮が、最後の音なんだっけ?って聞いてきて
だから、G、D、Aだよ、え?GDA?
って俺が言って
全員が悟を見たよね。
見るよね。そりゃね。

(Vo.G.小高芳太朗)