LUNKHEAD曲解説ブログ,  孵化,  素晴らしい世界

素晴らしい世界

2007年から2008年頃は
LUNKHEADにとっても激動の年だったけど
音楽業界全般にとっても激動の年だったと思う。
本気でCDが売れなくなり
だけどどこのメーカーもトップは音楽バブルの蜜を舐め続けてきた人達で
まだCDがバブルの頃のように売れると信じていた。
経費が凍結されて
ディレクターみたいな密なスタッフも地方のライブに来れなくなったり
契約社員が何百人も切られたり
正社員も希望退社を勧められたり
音楽業界大丈夫か…という空気に満ちて
なんだかざわざわしていた。
そんな中でボビーがもぎ取ってきたアルバムと先行シングルの予算
今までは年に3枚くらいシングルを切ってアルバム
という流れだったけど
LUNKHEADレベルだと
とてもじゃないけどもうそんな予算は出せない、ってことで
ちゃんとシングルとしてリリースできるのはこれが最後かもしれない
と、俺らも、なんていうのか?使命感というか悲壮感というか
何としてでも結果を出さなければ…という緊迫した状態だった。
(事実、ビクターから出したラストシングルになった)

素晴らしい世界は、元々、ジェットストリームアタックチャ~ンスツアー中に
楽屋で俺が考えてたアルペジオリフから始まった。
山下君が弾いてるやつです。
ベストアルバムのENTRANCEの準備と並行して
アルバム「孵化」を制作していくという
なかなかイレギュラーな進行で
これも、俺らベスト出すけど止まんねえよ?っていう
LUNKHEADの決意表明だったわけだけど。
素晴らしい世界はとにかくキメが多い。
頭から終わりまでキメ倒している。
アレンジとしては結構シンプルなんだけど
とにかくキメが多いのと
ここら辺から悟のフレージングが常軌を逸しだしてきた。
そして悟は仕事がとても早い。
真面目でせっかちの結晶のような人間なので
すぐにフレージングを固めてしまう。
アレンジ作業をしていく中で
サビのギターどうする?と壮と話していた時
すでに悟はフレージングを固めていて
それがまた、お前のパート、リードベースじゃね?(リードギターならぬ)
と言わんばかりの唸りまくるベースラインで
歌メロがあってベースがこんだけ歌ってて
これ以上なんかフレーズが入ってきたらもう支離滅裂じゃね?
俺らコード弾いてたらよくね?
と、とても前向きな意見として俺と壮はサビはただただコードをかき鳴らしている。

ミックスダウンの時
みんなで仕上がった音源を聴いたら
ディレクターの菊池さんが
「これベース大丈夫?笑」
と、苦笑いしながら言った。
そのくらい悟も気合を入れてたんだと思う。
それがいいのか悪いのかはわからんけど…
ただ嫌じゃなかった。作曲者として。
確かに俺がG田ウイルスに感染した瞬間だったと思う。

サビもボビーの提案で初めてダブりというものをやってみた。
ミスチルのイノセントワールドみたいな
主線のボーカルが2本重なってるやつ。
これは結構物議を醸して
ダブるとボーカルのパンチが減るんではないか?とか
結果やってみてよかった。

あと間奏
間奏は凝ったね~
リズムとか何がどうなってるのかよくわからん。
考えたの俺だけど
みんなでユニゾンで同じフレーズを弾いていって
最後ばらけていって3和音になっていく感じは
とても危うくて気にってる。
その後シュッと歌だけになるところも。
アレンジしていく中でいつも気にかけてるところは
混沌と調和のバランス
なんだけど
それもうまくいったなあ。

素晴らしい世界はなんと言っても
歌詞が大変だった。
並々ならぬ気合の入ったシングルってことで
龍もすごく口を出してきた。
素晴らしい世界、というキーワードも
最初の歌詞をメンバーで検証しながら出てきたんだけど
もっとこうしろ、もっとここがキャッチーに
と、言われるがまま直してたら
増改築を繰り返した家みたいになって
もはや原型をとどめず
ディレクターの菊池さんに
「この歌詞ってさあ、結局何が言いたいの?」
とズバリ言われてしまった。
そして俺も
「うーん…わかんないです」
と答えるしかなかった。
そしてその日はすでにレコーディングの当日だった。

その日レコーディングが終わって
バイクで帰りながら
俺にとって素晴らしい世界とは何か
そしてそれを失うとはどういうことか
ということを考えていた。

そんなところから「素晴らしい世界」というキーワードだけを残し
一から書き直したのがこの素晴らしい世界の歌詞だった。

キスって言葉が出てきたり、好きって言葉が出てきたり
今までの俺なら絶対使わなかった表現を使った
新しいLUNKHEADを切り開いた曲でもあると思う。
ゆうて、ただの失恋ソングだけど。

こないだのFC旅行のバス内の余興で
久々に素晴らしい世界のMVを見たけど
キモかった。

リリースして1年くらいはもうどんなライブでも必ずやってて
やりすぎてウニ食いすぎてウニ嫌いになったみたいな人みたいな感じになってたけど
最近ちょこちょこやると楽しい。

ツアーでもたくさんやれるといいなあ。

(Vo.G.小高芳太朗)