ENTRANCE 〜BEST OF LUNKHEAD age18-27〜,  LUNKHEAD曲解説ブログ

ENTRANCE

2007年秋、FORCEのリリースツアーとして行われた
ジェットストリームアタックチャ~ンスツアーは
LUNKHEAD史上最も本数の多いツアーだった(全28本)
FORCEは夏の匂い、桜日和、きらりいろと
収録されているシングルにどれも結構大きなタイアップを付けてもらったおかげか
LUNKHEAD史上最も売れたアルバムとなり
そしてジェットストリームアタックチャ~ンスツアーも
本数最大にして最も動員のあったツアーだった。
LUNKHEADとしてもアー担が姉帯さんから菊地さんに代わり
ディレクターもナベさんから菊地さんに代わり
ダブルキクチ新体制になり
バンド的にはここからだ!というところだった。
そんな矢先に、俺らに何の相談もなく勝手にベストアルバムの発売が決まってしまった。
顔も見たことないビクターの偉い人が勝手に決めてしまったのだ。
これはもうボビーは当然怒りまくったし
アー担の菊地さんはじめビクターでお世話になってる人みんな
一緒に憤ってくれた。
けどもう決まってしまったことは覆らない。
ビクター的には4枚アルバム出してそんな売れなかったし
最後に予算かからないベスト出してちょっとでも回収してさよなら~的なことだったらしいんだけど
怒り心頭のボビーはなんと一人で偉い人たちのところに殴り込みに行ってしまった。
そこでベストアルバムを出す代わりに契約の続行と
新しいアルバムの予算までもぎ取ってきてしまった。
そこでどんなやり取りが行われたのか…知る人はいない…

とにかくベストアルバムが発売されてしまうことはもう避けられない。
だったらこのピンチもチャンスに変えてやろうぜ!
と、メンバー、直球スタッフ、ビクタースタッフ
みんなで一丸となって
どうやったら面白くできるかをめちゃくちゃ考えて
収録曲はファン投票にしようとか
タイトルも博報堂の嵐田さん(今龍が一緒にバンドしてるザ・チャレンジの沢田さん)にお願いして
候補を何十個も考えてくれた中からメンバーが満場一致でピンときた
このベストをLUNKHEADを初めて聴く人達への入り口にしたいという思いを込めた
ENTRANCEにしたりとか
いろいろ施策を考えた。

その中でも一番大きかったのはやっぱりこの「ENTRANCE」という新曲だったと思う。
ベストアルバムなので
そりゃもう必殺曲達だけで構成されているのは当たり前で
そんな曲達に負けない曲を作ろうと
カップリングがめちゃくちゃたくさん入ってるシングルを作るつもりで作ろうと
そうやってENTRANCEを作っていった。
なので、俺らでは珍しいパターンだけど
ENTRANCEというタイトルがまずあって、そこから始まった曲なのです。

当時の俺らの持てる要素すべてを盛り込んだENTRANCEは実はかなり凝ってて
冒頭は白い声や体温インディゴ、LUNKHEADの代名詞、いわゆるエイトビートで始まり
気づいたらloopとかカナリアボックスとかライブでおなじみ四つ打ちビートになってたり
俺の出せるポップ感を全部込めたメロディに
楽しくてカラフルだけどエッジの効いたアレンジに
これまたLUNKHEADの代名詞的な後ろ向き過ぎて前向きみたいな歌詞に
本当に俺らにやれることを全部やりきったと思う。
「夢は叶うなんて買ったやつのセリフだな
どっかに三億円くらい落ちてないかな」
みたいな、魚の歌的なダウナー要素もあり
ギグルみたいな逆ギレイケイケオラオラ要素もあり
自分でもとてもいいバランスで書けた歌詞だと思う。

オリジナル音源だと実はめちゃくちゃダビングしてるので
当然ライブでやる時はライブアレンジになる。
そして山下君はリフを単音の自分の音しか弾かない。
(カナリアボックスもそうなんだけど)
なのでオクターブ上のリフのハモりも俺が弾きつつ(ないとすごい寂しくなる)
バッキング的なものも俺が弾かなければいけない(じゃないとスカスカになる)
キラキラ感も出さなければいけない。
意外に俺のやることが多い。誰も気づいてないと思うけど。
その俺の縁の下の人っぷりはREACT2版のENTRANCEを聴いてもらえると
わかる人にはわかるかもしれない。

アレンジしていたある日のスタジオに俺がちょっと遅れて行ったら
間奏前のダーダーダダーダーダのところを三人が考えていて
これどう?と聴かされたんだけど
ドペンタのゴリゴリのロックンロール調で
それはちょっと…ダサい…のでは…となったけど
アイデアとしては良かったので
スケールを変えていろいろ試してたら結構オシャになってとても気に入ってる。

ちなみに間奏は山下君プロデュースなんだけど
珍しく速弾きしなかった。
なんかハモりまで考えてきて
小高はこう弾いてと指示された。
ベースも意外にシンプルだなあ。
全体的にシンプルなのよね実は。
だからライブでぐわー!!っとやれるのかも。
未だにENTRANCEやると会場の温度がわっと上がるのを感じる。
もう11年も前なのかー。
色褪せないなー。

ベストアルバムに入ってる新曲って
なんかオマケみたいにお尻に入ってたりすること多いじゃないですか。
ベストアルバムで1曲めに新曲ってあんまり聞いたことない。

おかげさまで
1曲めでやってもパカーンと盛り上がるし
セクション終わりでやってもパカーンと盛り上がるし
最後のゾーンでやってもパカーンだし
アンコールでやってもパカーンだし
本当にどこのポジションもこなせるマルチなやつに育ちました。

(Vo.G.小高芳太朗)