FORCE,  LUNKHEAD曲解説ブログ,  アルバム

僕らは生きる

なんかの用事でボビーに車で送ってもらってる時に
ボビーがキャプテンオブザシップ(長渕剛先生のド名曲)みたいな曲作ろうよ
って言い出して
また出たよ…って思った記憶…
ボビーは言い出したら止まらないし
期待されるとそれ以上のものを作りたくなってしまうので
そんならやったるわい!とまんまと乗せられ
そんでできたのがこの僕らは生きるなのであった。

Aメロとサビのコードはゴールデン進行と思いきや
実は意外と凝ってて
C→G/B→Am→G→F→C→Dm→G
と聞こえるようで(ルートはこれ)
実は
C→G/B→F/A→C/G→F→C→Dm→G
となっている。
普通にゴールデン進行でええやんけって話なんだけど
ビミョーにメロディと食べ合わせが悪い気がして
メロディに則ってコードを当てた場合
C→G→F→C→F→C→Dm→G
が一番自然で
でもゴールデン進行のキャッチー感を出したくて
解決策としてその二つを合体させたのが
C→G/B→Am→G→F→C→Dm→G
というわけなのです。

キャプテンオブザシップと言いつつも
(要は語りからのサビで大合唱みたいな曲)
サビでイメージしたのはcoccoの
陽の照りながら雨の降るで
この曲とても好きな曲で
こんな壮大な感じにできたらいいなあと思いながらサビを作った。
(ならんかったけど…)
で、できた僕らは生きる
ディレクターのナベさんは元々パンクスなので
こういうロックはさ!ピアノなんだよ!
ロックピアノだよ!!
と、猛アピールしてきて
夏の匂いのストリングスアレンジをしてくれた吉澤さんに
またしてもピアノをお願いすることになった。
ボビーといい、ナベさんといい
初代アー担の姉帯さん、二代目アー担の菊地さん
俺らの周りには
「俺のLUNKHEADはこうなんだよ!感」を全面に出してくる大人しかいなくて
暑苦しかったけどありがたかった。
そこまで好いてくれる人達と仕事ができるって本当に幸せなことだ。
今まで俺らを録ってくれたエンジニアさん達
佐藤さんも比留間さんも井上さんもクワマンも
マスタリングエンジニアのコウタロウさんも白石さんも
二代目ディレクターの菊地さんも
三代目ディレクターの遠藤君も
徳間の新井君も
日本中のラジオ局の応援してくれてる人達や
日本中のラジオハウスのスタッフ
なんでそんなに好いてくれるんやろ?
って不思議に思うくらい愛されて俺らここまでこれた。
本当にありがたくて幸せなことだし
俺らは本当にラッキーだったと思う。

で、これはやっぱり大合唱を録らないとって話に当然なって
お客さんをエキストラで呼ぶとかいろいろ案が出た気もするけど
最終的に、メンバー全員
バンドマンや音楽関係の友人知人片っ端から連絡することになった。
この日のこの時間に来れる人!って限定だったけど
めちゃくちゃたくさんの人が来てくれて。
なんとジュンスカの宮田さんやユニコーンの川西さんまで来てくれて
(恐れ多すぎる…)
つばきやメレンゲはボーカルののりちゃんやクボさんが来れないのに
わざわざリズム隊が全員来てくれたり
総勢何人だったんだろ?
全員アルバムの歌詞カードにクレジットされてるので是非チェックしてみてください。

ビクタースタジオの広い部屋でみんなで円になって
真ん中にマイクを立てて
ボーカリストは全体の半分くらいだったけど
さすがにバンドマンで
みんな1回目で覚えてすぐ2回目から録れて
めちゃくちゃすぐ終わった。
実はこのコーラス録った時、スケジュールの行程上
本チャンの俺の歌が入ってなくて
オケだけしかなかったんだけど
バッチリのチリバツで本当みんなすごい!
できる人は次のテイクハモってみてください~!!
というともうバッチリハモりまで入れてくれて。

そしていよいよボーカル録りの日
このころはまだボーカル録りとなると
5テイクとか曲によっては10テイク近く歌って
そこからナベさんの鬼のディレクションが始まるって流れだったけど
これはもう1回しか歌えないと思っていた。
なので朝からものすごく緊張していた。
しかも、アドリブなのである。
こういうことを言おう、ということだけを箇条書きにして
あとはぶっつけ本番だったのだ。
ナベさんは
サビだけはさ、何回か歌っとこうよ
一応、保険、保険でさ
と言ってきたけど。

すわ!
その時はやってきた。
緊張は極限まで達し
俺は
誰かと手を取り合うためなんじゃないんかなあと思います
となぜか冒頭から丁寧口調に。
その後はもうキレたいじめられっ子状態で
ズルズルの新居浜弁炸裂。

ブースから戻ると拍手喝采
ナベさんも笑顔で
つるっとこれでいいや!
と言ってくれて。

正直こういう曲は苦手です。
みんな歌ってくれ~!!みたいなノリ
見る方でもやる方でも好きじゃないし、しんどい。
ある意味嫌悪さえするくらいの人間です。
じゃあ作んなやって話なんだけど。
でも作ってしまった。
ジェットストリームアタックチャ~ンスツアーは
毎回これやんないといけなかったから
(なんならその後しばらくイベントなんかでも毎回やってた)
毎回本当にキツかった。
ライブが始まるまでいつも公開処刑されるような気持ちだった。
だからと言って半端にやるのが一番サムいから必死だった。。
ホール中練り歩いてたもんな…

多分、LUNKHEAD好きな人って俺と近い人多いんじゃないかな。
みんなで歌うとか、ちょっとムリです…って人多いと思う。
それでも、7/19のリキッドもそうだったけど
ああやっていつもみんなめちゃくちゃ盛り上がって大合唱してくれるのは
んーなんか自分で言うのもアホみたいだけど
俺がその、そういうのが好きじゃなくて
なんかもう自分をギリギリのトランス状態まで追い込まないとできなくて
結構割と、命がけでやってるのが
みんなに伝わるからなんじゃないかなあ?
と、自分で言ってて恥ずかしいんですが。

みんなとてもとてもいい顔をして歌ってくれます。
みんな笑顔だけど目が血走って、女の子たちは化粧大丈夫?ってくらい汗びしょで
心の殻を全部剥きとったような顔をして歌ってくれます。
それは多分、俺がそういう顔をしてるんでしょう。

こういう曲を作って、もっとドン引きされるのかと思ってた。
正直どういう風に受け止められるのかが怖かった。
もちろん、やっぱりLUNKHEADは好きだけど僕らは生きるは苦手…
って人もいると思う。
だけど、僕らは生きるは今では
俺が音楽をやっていく人生の中で
自分が歌う理由とは何か?ってことに迷った時
それを思い出させてくれる
マイルストーンのような曲になった。

まあ
未だにライブでやるのはしんどいんだけど。

(Vo.G.小高芳太朗)