ヘヴンズドア
イントロのアルペジオを思いついた時
これは…絶対すごい曲になるぞ…という確信があった。
そういう俺の確信が、全然メンバーに伝わらない時もあるし
すっと四人が同じ感覚を共有できる時もある。
ヘヴンズドアは後者だったように思う。
あんまりアレンジで行き詰まった記憶がなくて
どんどんみんなのアイデアが湧いていった。
完成した時は本当に
すごいもの作っちゃったな…とみんなで思った。
エンジニアの佐藤さんが
夏の匂いとか歌ってるバンドと同じとは思えないね
と嬉しそうに笑っていた。
メロディとアレンジと歌詞とミックスが見事に融合した曲になったと思う。
ただ
ライブでの出番は少ない。。
というのも
ただでさえ中盤のスローミディアムゾーンはやれる曲数が少ないのに
そこに加えてヘヴンズドアみたいな自己啓発系ダハー曲は流れに組みづらいのだ。
やっぱ、夏の匂いとかプルケリマとか
甘酸っぱ系曲だと流れでやりやすいんだけど
そこに突然ヘウンズドアが入ってきちゃうと
おいおい、お前空気読めや的な流れになってしまう。
そんなわけでこれ系の自己啓発ダハー曲はあんまりライブでやれない。。
すごい好きな曲なんだけどなあ…
サウンド的には
この頃、LUNKHEADファンの中でも一部熱狂的なファンがいる
昔からお世話になってる刺青ローディ近藤大介先生から
フェイザーをもらって
(俺の足元を見たことがある人は左端のオレンジ色のやつです。見た目はかわいい)
そいつがなんていうかクソみたいなフェイザーで
大ちゃんも、あんまり使い道ないと思うけどって言って
タダでくれたんだけど
めちゃくちゃ歪みかましてからかけるといいって言われたのに
もっぱらクリーントーンの時に浮遊感を出すためにパッド的に使うことが多く
このヘヴンズドアがそれこそ初登場作品だった気がする。
あとは付点八分のディレイをかけたところにこのフェイザーをかまして
やっぱりパッド的な雰囲気を出したり
(スモールワールドの間奏やHEART BEATERのAメロとか。どちらもライブのみのアレンジ)
今となっては小高サウンドになくてはならないものとなっております。
多分フェイザーとしてはクソなんだけど。
2番のAメロの壮のボボッボボッボボッボボッっていうバッキング
曲出しの時に歪みすぎてミュートするだけでハウっちゃって
ボボヒーボボヒーボボヒーボボヒー
ってなっちゃって
それがなんだかカッコよかったので
本番レコーディングでもあれ再現してくれって言ったら
意外になんか難しかった。
ああいうのは偶然の産物だからいいんだろうね。
狙ってやるのは難しい。
それでもなんとかいい感じにできて
なんかブランコ漕いでるみたいな寂しい感じが曲と合うなあと
すごい満足してたんだけど
リリース後
ファンの間からは
「あの耳障りなノイズは何?ミス?事故?」
みたいな声が聞こえて
悲しかった…笑
サビのギターの絡みも壮と二人であれこれ試行錯誤して
お前がそういくなら俺はこういくわって
ストリングスアレンジみたいに壮大なアンサンブルになって
とても綺麗なんだけど
すっかり今や忘却の彼方なので
ALL TIME SUPER TOURでやるならまた耳コピしなきゃだな…
歌詞集を編集してて
改めて歌詞を見返してみると
ものすごく短い。
LUNKHEADの曲の中で一番短いかもしれない。
けど、前にも書いたけど短いから簡単なわけじゃなく
俳句のように
むしろ限られた文字数の中で表現するのは逆に難しい。
そんな中で
ヘヴンズドアの歌詞は
手前味噌だけど
限りなく100点に近いように思う。
言い過ぎてないところがよくて
からっぽな「僕」に来た朝は
絶望なのか、希望なのか。
まあ希望なんだけど。
この曲は
俺が宇宙一敬愛する日本橋ヨヲコ先生の
G戦場ヘヴンズドアのラストシーンをモチーフにしてて
でもまあそれだけじゃないんだけど
10年以上経ってから見返すと
歌詞としてとてもいいなあと改めて思った。
アルバムで
眠れない夜の事からの流れなのもいい。
ヘヴンズドアは夜中に歌を録ったんです。
25時過ぎとかかな?
レコーディングが押して
てっぺん超えたくらいにオケが録り終わって
今から歌を録りたいと言ったら
別にスケジュール的に押してるわけじゃないし
やめたほうがいい、と
エンジニアの佐藤さんと
ディレクターのナベさんに止められた。
夜中や午前中は喉が開きにくいから
無理をするとそれこそ喉を潰して今後のスケジュールに支障をきたしてしまう。
ただでさえ丸一日スタジオ作業してたのに。
それでもこの曲は、真夜中の今歌う事に意味がある気がした。
そんなのただの俺の自己満足だけど。
そしたら龍が
今歌いたいと思うんだったら今歌った方がいい
と言ってくれた。
この頃の自分の歌い方は
ピッチを当てに行ってるせいか
妙にニャンニャンしててあまり好きではない。
けどヘヴンズドアは好きだ。
やっぱりあのテンションで歌ってよかったし
龍が背中を押してくれてよかった。
と、ドラマチックに語ってきたけど
この曲もタイトルが全然決まらなくて
やっぱり今はなき一口坂スタジオの会議室で
みんなでうーん…と唸っていた。
そんでまたしても
俺がうんこに行ってうんこをしてたら
ヘヴンズドアというタイトルが突然舞い降りてきたのだった。
まさに天国の扉を開いたようだった。
うんこしてたけど。
この時から
メンバースタッフ内で
小高がうんこに行くと神の啓示を受けて戻ってくる、という説が生まれた。
(Vo.G.小高芳太朗)