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きらりいろ

桜日和をリリースしたぐらいに
アーティスト担当が代わった。
姉帯さんは結構前から世話になった人が立ち上げた会社から、誘われてたのだけど
俺らのことが気がかりで迷っていたそう。
でも変をしているツアーのAXのライブを見て
もう俺がいなくても大丈夫だ、と決心して
ビクターを退職した。
新しい担当の菊地さんは
ものすごく優しい穏やかな人なんだけど
学生時代アメフトをやっていたこともあり
いったん火がつくとどこまでも熱い男だった。
ある日の選曲会議で
曲だしレコーディングで録ったネタをみんなで聴きながら次のシングルどうしよう?と話していた時
菊地さんはほとんどボツになりかけていたきらりいろの原型を聴いて
「ぜっっったい、これしかないっすね」
と、ものすごいドヤ顔で言ってきた。
これ以外ありえないと。
そこまで言うなら、と
スタジオに入ってアレンジを詰めていったら
結構雰囲気変わっちゃって
なんかかわいい感じになってしまった。
キャッチーなリフ…キャッチーなリフ…
ていうのを毎日4人で話し合って考えていたな…
歌詞も、これはほんとにもう2度とこういうのはごめんだと思ったけど
毎日スタジオの後にボビーも含めて永福町のファミレスで
どんな言葉がキャッチーかをみんなで議論して
か行がキャッチーじゃないか?とか
いや、ら行がキャッチーだと思うとか
キャッチーな歌詞書いてこいとか
なんなんそれ、と思った。
屈辱的でしたなあ。
そんで、か行…ら行…
か…ら…
か…き…く…ら…り…る…
き…ら…き…ら…り…
みたいな感じでサビの歌詞を書いたのでした。
メンバーもボビーもみんな
おお!めっちゃええやん!!
と褒めてくれたけど全然嬉しくなかった。
むしろ腹立たしかった。
そういう期待にバッチリ応えてしまう自分にもムカついた。
かといってきらりいろの歌詞が気に入ってないわけではなく
ちゃんとそこには自分なりの魂を込められたので
そこは一矢報いた感がある。
これは新居浜の滝の宮公園の池のそばにあるベンチを思い出しながら歌詞を書いたんだよな〜。
滝の宮公園の池のベンチから西陽見えないんだけど。

そんで、2007年春、新居浜市民文化センター中ホールで凱旋ワンマンをやったんだけど
そこのライブできらりいろのMVを撮ることになった。
監督は夏の匂いに続き下山天さん。
天さんはライブ中、客席の中に大杉漣さんばりのオーラを放っている男性を発見し、思わずその男性を撮り続けてしまったという。
そしてライブが終わり
打ち上げ会場に向かうと
さっき撮り続けていた男性が打ち上げを仕切っているではないか。
そう、山下忠その人である。
その男性が山下君の親父だとまったく知らずに
そのオーラについ撮り続けてしまったのだと。
そんな忠の画は実際のMVにも盛大に使用されている。
というか、むしろ山下君より多く映ってる。
それどころか、スポット(15秒バージョン)など
俺のリップ以外は忠しか映ってない。
MVが完成して、みんなで一緒に見た時
微妙な空気が流れて
みんなが気の毒そうに山下君を見た。
山下君も微妙な顔をしていた。

でも、よく探すと悟のお母さんも一瞬映っている。

(Vo.G.小高芳太朗)