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小さな反逆

小さな反逆はNo.6でした。
2017年の秋から初冬
ヒナタがNo.5だったので
割とplusequalの骨格はこの時点でできてたのかもしれない。
小さな反逆は
なんでか悟がデモの段階でめちゃくちゃ気に入ってて
悟の猛プッシュもあり
最初は4月5月6月の三ヶ月連続配信シングルは
心音、はじまれ、小さな反逆、の予定だった。
けども、その後にアウトマイヘッドができて
小さな反逆は候補から弾かれてしまった。
けども、あの時に小さな反逆がシングルになっていたら、歌詞は全然別のものになっていたし
小さな反逆がこんなに俺らにとって大事な曲になっていたかはわからないから
結果として神の思し召しのようなものも感じたりする。

今までのLUNKHEADにありそうでなかった感じの曲を目指してたんだけど
桜井さんのドラムアレンジでそれは決定的になった。

アレンジを詰める時
各々のメンバーに各々のパートを抜いた状態のデモを送って
それを元にみんなが各々のアレンジを考えるんだけど
去年のムロフェスの日の朝
起きると桜井さんからドラムを当てたデモが届いていた。
タイトルを見るとNo.6_15
えー!!つまりテイク15ってこと??
しかも送信時間が夜中の2時半とか
ムロフェスの入りが早かったので
多分桜井さんちから集合場所までの時間考えると5時前には起きてないといけない。
ありがたいけど…ね…寝てくれー!!
と、思った。
そんでそれを聴きながら集合場所に向かった。
3パターンくらい送ってくれてたのかな?
わりとデモの感じにそった頭からずっとダハーッとしたやつ
音を歪ませてドラムだけラジオボイスぽくしたやつ
そして、みんなが今聴いてる、人力テクノみたいなやつ
人力テクノみたいなやつは
最初聴いた時あまりにデモと違うのでびっくりして、正直、これはちょっとないな…と思った。
けど、もう一回聴くと…おや…?
さらにもう一回聴くと…あれ?めちゃくちゃカッコよい??
しかも最初機械的で電子的な無機質な感じからだんだんと熱を帯びてきてあったかい感じになってきて最後一気に感情が爆発する感じ、めちゃくちゃストーリーがあるじゃない??
電車を降りる頃にはすっかり
このアレンジしかないな!という気分になっていた。
集合場所について山下君に聴かせたら
これほんとに人間が叩いてんの?笑
と、爆笑していた。
悟は苦笑いしていた。
(リズム隊は夫婦みたいなものなのでドラムが変わるとベースも最初から組み直さないといけない)
でもこのドラムアレンジのおかげで小さな反逆は本当の意味で産まれたと思う。

あと、この曲の醍醐味はやっぱりやたら長いベースソロじゃないだろうか。
あまりに長いソロなので
散々LUNKHEAD聴いてきてグッズも何度も作ってくれてる友達のデザイナーから
ギターソロいいね!って連絡がきた。
ギターソロねえけど。
あのベースソロはデモの段階で、悟が今までやってきたことのすべてを込めて俺が悟ならこういうことしてきそうと考えて打ち込んだソロで
別にその通り弾かなくて全然いいんだけど
悟曰く「あのソロはよくできてる」んだそうで
(あざすー)
でもそっくりそのまま完コピするだけじゃやはり飽き足らなかったようで
さらに手数を増やしてパワーアップさせてきた。
(こっちはマウスでポチポチパソコンに打ち込んでるだけで運指上可能かどうかなんて考えてないからあのフレーズ…人間で弾けるんだ…へー…とびっくりしたもんです)
そうやってどんどんデモから進化してレコーディングする時にはもう見違えるような曲になった。
レコーディング中
曲がどんどん出来上がっていくのを聴きながら
「ええ曲になったねえ…」
と、しみじみ呟いたら
悟がものすごいドヤ顔で
「最初からいい曲だよ」
と言ってきて
お、おお、作ったの俺やけどな、と思ったけど
嬉しかったなあ。
ソロアルバムの曲をLUNKHEADでもやってほしいとたまに言われるけど
それは絶対にない理由はここにあって
LUNKHEADは、デモをメンバーに渡した瞬間からそれはもうLUNKHEADの4人それぞれのものであって
一応作った俺が船長的なポジションではあるけど
曲に対するウェイトはフラットなわけです。
だからみんな心の底から、ええ曲やね〜と言ってくれるし、ええ歌詞やね〜と言ってくれる。
でもそれは別に俺を褒めてくれてるわけじゃなくて
俺のLUNKHEADのこの新曲、ええ曲やわ〜
と、みんなそれぞれが思ってくれてるからで
だからこそアレンジ詰める時は意見が割れればバチバチにやりあうし険悪にもなるし
でもそれが嬉しいなあと思うのです。

この小さな反逆で歌ってることが
plusequalで歌ってることすべての終着地だと思う。
悲しい事っていつも突然理不尽に襲ってきて
理不尽に奪っていく。
そしてその悲しみは生きている限り癒えることがない。
そんな悲しみが降り積もっていくだけの人生だけど
俺らが力を合わせれば
こんなにも笑いあえる
喜びあえる
悲しみと戦うことができる
笑うことが喜ぶことが
悲しみのやつらをぶっとばす
俺らの、反逆だと思うんです。
綺麗事かもしれないけど。

きっといろんな思いを抱えながらみんな
それでもライブに来てくれて
その悲しみを、苦しみを、地獄を
俺はひとつもわからないけど
それでもみんなが笑ってくれることに
ずっと救われ続けてるから
俺は抗い続けたい
喜び続けたい
あなたと

(Vo.G.小高芳太朗)