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心音

知ってる人は一発でわかると思うけど
つばきの一色徳保と過ごした最後の2週間のことを歌った曲です。
ゴリゴリのリフから始まる激しい曲だから
歌詞が書けてメンバーに見せた時はちょっとびっくりしてた。
でも、早くに歌詞が書けたので
逆にそっちに寄せていけたと思う。
Aメロのぽつんとした感じとか。

自発呼吸ができなくなったのりちゃんの肺を24時間常に誰かがマッサージしてなくてはいけなくなったのが2年前の4月25日で
そこから2週間後の今日
5月9日の朝
夜当番だった俺とマスさんとつばきのローディーしてた工藤さんと3人で夜を数えて
早朝当番のハリーさんが来て
なんとか朝を繋げた…と思って安心してフラフラで家に帰って少し寝ようと思って布団に入った時
ソネさんから電話がきて
あの後、血中の酸素濃度が戻らず
亡くなったと。
あの日、俺はなんで
自分がしんどいからって帰ってしまったんだろう
なんで自分のことばかり、優先してしまったんだろうとずっと後悔してる。
やるべきことはやりとげたし
あのまま残ってても何かが変わった訳じゃない。
なんも俺は悪くないのはわかってるんだけど
どうしても拭えない後悔がじりじりと抜けないトゲみたいに胸に突き刺さってて今も鈍く痛い。

最後の2週間、たった2週間
1日1日を繋ぐことに必死で
何日経ったかなんて誰も数えてなかったから
振り返ってみて
たった2週間だったんだね…とみんな驚いた。
もっと長い間
もっと何週間も戦い続けてきたんだと思ってた。
そのくらい俺らは1日1日を
濃く生きていたんだな。
のりちゃんの生きている今日が
愛おしくて愛おしくて
大事で大事で仕方なかった。
当たり前な時間など一瞬たりともなかった。
だけど、前にもブログで書いたけど
その2週間は決して悲愴的なものではなくて
なおちゃんもお別れ会の挨拶で
最後の2週間は一色からのプレゼントだったと思う
と言ってたけど
24時間常に
たくさんの仲間が集まって
ワイワイと語り合ってみんなでつばきの曲聴いたりビール飲んだり
ずーっと誰かがいて賑やかで(昼は)
なんだか非現実的で
本当に夢みたいな日々だった。
あの日々は今も俺らの大事な宝物です。

どうせ死ぬとわかってるのに
みんなでボロボロになって
たった何日か延命してどうするのか
と、微塵も思わなかったわけじゃない
正直言うと
だけど、のりちゃんが生きてくれていることが
本当に、それだけがすべてだった。
それだけが俺らを奮い立たせてくれた。
生きているってこんなに凄いことだったんだと
心が震えて涙が出た。
1分でも1秒でも、長く生きていて欲しかった。
そこには光があったから。
だから最後の最後の最後まで戦いきったのりちゃんは
死んだというより生き切った感覚がある。
いやでも、死んだんじゃんと言われたらそれまでだけど
俺らみんなで戦い抜いたんだっていうか
いやそれもエゴじゃんと言われたらそれまでなんだけど。
でもそうじゃないんだ。
俺らはみんな、確かに
のりちゃんと生かされあってた。
救われあってたんだ。

だから、心音は歌詞がそのまますぎてリアルすぎて聴くのが辛いという人もいるし、その気持ちもとてもわかるんだけど
それでも
俺にとってはそうじゃないんです。
まあ、俺もたまに歌いながら泣いちゃうし
笑顔で歌える歌じゃないけど。
それでも、少なくとも
これは悲しい歌じゃないのです。
これは、戦いの歌なんだ。

(Vo.G.小高芳太朗)