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ヒナタ

2017年の夏の終わり
下北沢CLUB Queにそれでも世界が続くならのワンマンを観に行った。
俺は弾き語りツアーの帰りで
アコギとスーツケース抱えてて
しかも台風直撃で
大雨、大風
だけども行ってよかった。
そういう日にしか生まれない空気ってあるんだよなあ。
それせかのしのくんはピアノをやってた人なので
ピアノをやってた人特有の曲の雰囲気があって
コード進行も半音階で下がっていったり上がっていったりする曲が多い。
それがとても心地よくて綺麗で
ああ、こんな曲があったらいいなあ、と思った。
で、家帰って
どんな感じだったっけかな?
こうかな?ん?違うぞ、こうかな?
と、コード進行を思い出しながらギターを弾いていたら
結局全然わからなかったんだけど
その代わりにヒナタができた、という。
「それ以外にできることが」
のところのコード進行
GM7/G# GM7 F#m7 Bm7
と、頭3つが半音ずつルート音が下がっていくところ
ここがミソです。
あと、リフがずいぶんと明るい。
パワーポップみたいな感じ。
G D/F# A/E D
いつもだったら最後のDをB#m7とかにして
メロウな方向にいきがちなのを
ポップで元気な感じにデモを作ったら
そしたらスタジオでアレンジを詰めてる時にやっぱり恥ずかしくなってきたので
リフさあ、やっぱ最後のコードBm7にせん?
と言ったんだけど
メンバーは明るい方で聴き慣れちゃってたし
そっちの方が今までになくて斬新だったから
元のままがいいと。
そうか…と思ったけど
今となってはそのままにしてよかったと思う。
Bメロの感じも新しい
「唾を吐いてやる僕は」
のところ、かなり独特な節回しなので
歌詞どうしよう…と思ってたけど
スポッとうまい具合に言葉がハマってよかった。
Bメロの歌詞気に入ってます。
全体的に歌いたいことはすぐまとまって
割とすんなり書けたと思う。
すんなりって言ってもすんなりじゃないんだけど
アウトマイヘッドとかみたいに何度も何度もゼロから書き直したりはしてないってことで。
週刊少年ランクでも話したけども
「抱きしめて抱きしめる」
ていうところ、2回繰り返すことで
なんかこう、画がよりはっきりと見えるというか
ほんとにそれしかできることがないから
せめて一生懸命に抱きしめてるって感じがしません?
だけど、僕が君を救い出すんじゃなく
「君が君を救い出して」
なのが俺らしいと思う。

間奏のギターソロのところのベースが
軽やかにサビで動き回ってからの
ルートを8分で刻んでぐいぐい押してく感じが
パッと場面が展開して
力強くてすごく良かったので
ここのベースええやんと言ったら
悟はうなだれてとても残念そうに
「ここだけ…どうしてもフレーズが浮かばんかったんよね…」
としょんぼりしていた。
そこに山下君が
「さっくん、そこ、俺ギターソロ弾きよるから無理にフレーズ弾かんでええよ」
と言ったのが面白かった。
このバンドに引き算という発想はあまりない。

タイトルのヒナタの理由は…
んー、恥ずかしいからナイショ

(Vo.G.小高芳太朗)