LUNKHEAD曲解説ブログ,  plusequal

朱夏

アリアルを作ってから1年以上ずっと曲ができなかったって話はいろんなところでしてるけど
その先で最初にできたのがソロアルバム「それでも」に収録されてる「未来」で、その次にできたのがこの朱夏だった。
と言っても歌詞を書くのはそこからさらに1年後になるんだけど。
かなり変則的な展開なんだけど
頭の中で思いつくままに作っていったら
こうなってしまった。
リフが6/8拍子
Aメロは4/8拍子
Bがまた6/8拍子で
サビで4/8拍子っていう
だけどちゃんとノレるというか
意外とスッと流れていくから
うまくいったな〜と思う。

つっかえが取れたみたいに
この曲がきっかけで
どんどん曲ができていったんだけど
2018年の3ヶ月連続配信シングルの時
なんでか誰も候補にあげなかった。
俺もあげなかった。
なんとなく、曲の旬が今じゃないなっていうのが
不思議と全員の中にあった。

で、2018年の秋になって
いよいよplusequalの残りの曲のレコーディングが近づいて
歌詞を書き始めた頃
LOST IN TIMEの海北君とよくスタジオに入ってて
(海北君も曲作り期間で、一人で作ってると滅入るし行き詰まるから刺激とか意見とかもらうためにたまに一緒にスタジオに入ってくれないか?と誘ってくれたんだけど、俺の方こそ沢山もらってしまった。。)
そこで二人で話してた中に中国の五行思想の話があって
(詳しいことはググってくれ!)
その五行思想の中に
青春、朱夏、白秋、幻冬という言葉があるのを知った。
若かりし日々を青春と言うけど
実は34歳までが青春で
(こないだ見たチコちゃんだと29歳までと言ってたので諸説あるのかも)
ついこないだまで俺ら青春だったんだね〜俺ら今朱夏真っ只中なんだね〜なんて話して
そしてヒリヒリしてギラギラして
泥臭くて尖ってるこの曲こそ
朱夏ってテーマがぴったりじゃないか、と
その時に思った。
朱夏をテーマに歌詞を書こうと。
そしたらその晩
携帯のメモを整理してたら
身に覚えのないメモが出てきた。

吹き溜まりのような街の片隅で
俺らは笑い合いながら
真っ黒に煤けた東京の空を突き破った
一筋の稲光のような未来を
俺達はただ睨みつけていたんだ

日付を見たら2018年1月10日0時36分だった。
おそらく
アウトマイヘッドの歌詞を書いてた頃で
ベロベロの状態で布団の中でメモに打ち込んだのだと思う。
ただ、え、こんなカッコいい言葉本当に俺から出てきた??とちょっと信じられなかった。
だってまったく記憶にないんだもん。
もしかしたら何かを読んでそこでカッコいいと思った言葉をメモしたのかもしれないし…
なのでめちゃくちゃググッたり調べたり…
で、どうもちゃんと自分から出た言葉のようだ、と
しかもこれ、めちゃくちゃ朱夏やん、と
1年前の自分にプレゼントをもらったようだった。
歌い回しの関係で言葉は変えたけど

賽の河原は崖っぷちの死に体の自分ら
踏みつけてきた骸は
やめていったバンド仲間
死に別れていった大事な人達
それでも俺らまだかろうじて死んでない
まだ生きてる
まだ戦える
離しかけたその手を
もう2度と離さないように
強く握りしめたなら
そして守りきれたなら
朱夏は
今の自分達にかけた呪いの歌だ。
歌詞が書けて
レコーディングして
plusequalのリード曲を決める時
配信シングルの時と同じように今度もまた
誰も朱夏を候補にあげなかった。
朱夏以外には考えられなかったから。

(Vo.G.小高芳太朗)