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カナリアボックス

2005年の秋
何かの用事で下北沢に集まった後で
龍が個人練でスタジオに入ると言うので
ヒマだったからついていった。
だいたいどのスタジオも
2人までは個人練扱いになる。
ギターはスタジオのやつを借りた。
そこでなんとなくジャムったり
既存の曲を合わせたりしていた。
ふと、サンボマスターの歌声よおこれって
どんなメロディだったっけかな?
と思って俺はギターでつまびきながら歌声よおこれを思い出そうとした。
こんなかな?こんなかな?となかなか思い出せないうちになんかカナリアボックスのあのリフみたいなフレーズになっていって
龍が、それええやん、と言った。
俺も、なかなかええやん、と思った。
そりゃそうだ。サンボマスターだもん…
でもその時は、魚の歌とか物思いに耽る庭的な
ミディアムの曲になるイメージだった。
ちなみにこの頃はできた曲にバカみたいな仮タイトルをつけていた、と先のブログで書いたけど
この曲はサンボマスターマスターってことで略してSMマスターと呼ばれていた…ろくでもない…
ところが、みんなでスタジオに入ってアレンジを考え出すと
なんだかどんどん陽気な方に曲が転がりだした。
これシングルじゃない?と龍が言い出して
いや、ないないと思ってたら
悟も壮も
ボビーやディレクターナベさんアーティスト担当姉帯さんまで
俺以外の全員がほぼ満場一致で
これシングルっしょー!!
みたいな
ほとんど祭みたいなテンションで。
俺だけが反対してたらボビーが
でも作ったのおまえじゃん
と、なんとも腹の立つことを言ってきて
なんとも腹が立った。
歌メロなんかはAメロもサビもほとんど同じ旋律で、コード進行を変えることで展開を作ってるので
はっきり言って単調この上ない。
結局、押し切られるままシングルになったけど
レコーディング中もまだ往生際悪く
これがシングルでいいのか??
と、メンバーに問うていた。
どうせやるならとことんやろうぜ!と
ボビーが盛り上がって
マニピュレーターも初めて外部の人に頼んだ。
マニピュレーターってのは
打ち込みとかを作ってくれる人です。ざっくり言うと。
こんなバカみたいな陽気な曲初めてなので
何を歌えばいいのかわからず
かといって絶対暗い歌詞じゃないから
ポジティブポジティブ…と考えてたら
結局、出会ってくれたファンのみんなの歌になった。

白い声とか体温とか歌ってたやつが突然
カナリアボックスなんか歌い出したら
俺がファンだったら
あーあ…そっちに行ってしまったか…
と思いそうだし
実際そう思った人も多いと思う。
だけどもそれでも
このカナリアボックスがLUNKHEADにとって
アンセムになったのは
やっぱりあのMVがあったからだと思う。
どうせやるならとことんやろうぜ!
と言ったボビーのとことんはMVまで及んだ。
まずボビーのよしもと興業時代のパイプを駆使してブレイクしまくりの次長課長が出演してくれて
タンメン、タンバリン、雲竜型、持ちネタをすべて披露してくれた。
(河本さんは深夜2時まで収録のあと、俺らの現場に朝6時に入って、昼前に次長課長のカットを撮り終えると次の現場に去っていった…売れるってツライ…)
しかも場所は高円寺の小さな中華料理店
中華料理店が夜はクラブになるという
無茶苦茶なコンセプトを
巨匠池田監督が最強のMVに仕上げてくれた。
そこまでとことんやったからこそ
俺らの腹を括った覚悟が伝わって
カナリアボックスはアンセムになり得たのだと思う。
よくも悪くも
ターニングポイントだった。
でもカナリアボックスのリリースツアー
カナリアダイアモンドツアーで
初めてリキッドルームが即完したんだよな…
(このツアータイトルが秀逸過ぎて、今後LUNKHEADはツアータイトルにいちいち悩む時代が来るがそれはまた別のお話…)
ある頃まで、必ずライブでやってて
正直うんざりしていたけど
最近はあまりやらなくなってきた。
その後たくさんカナリアみたいなハッピーな曲ができたからだ。

あと、カナリアボックスと言えば冒頭の悟のMC。
昔は、俺がMCしてたけど
盛り上げるのがめんどくさくて
さっくん…今日代わってくれん…?
と言って代わってもらったその悟のMCがあまりにも素晴らしくて…
メンバーボビー一同これはもう悟がやるしかないだろう…!!
ということで今日に至る感じです。

あと、桜井さんがやたら好きで
桜井さん入ってからなんかまたすげーライブでやってた気がする。

(Vo.G.小高芳太朗)