スワロウテイル
2000年だった。
俺は大学2年生になって
悟と壮が上京してきて
いよいよLUNKHEADが本当の意味で始まった。
俺は
グレイプバインみたいなバンドをしたかった。
グレイプバインみたいな曲を作ろう!と思って
作った。
スワロウテイルを。
けど全然グレイプバインみたいにならなかった。
とはいえ
まあまあいい曲だったから
超初期のLUNKHEADでは重宝した。
当時、俺は、なんとういうかすべての人間関係において逃げ腰というか
責任を負いたくなくて
だから三月も
誰かに寄りかかってみたり、だし
ひとりごとも独り言だし
だからスワロウテイルもやっぱり
「いつも君のすぐそばには僕がいる」
とは歌えず
「いつも君のすぐそばには誰かがいる」
になっちゃった。
君は一人じゃないけど、そこにいるのは俺じゃないよっ!
みたいな
2000年、俺は大学2年生で
姉は大学4年生だった。
もっぱら就活をしていた。
面接で落とされた企業に
姉よりはるかに成績の劣る男が受かった。
俺は姉の涙をほとんど見た事がない。
子供の頃から本当に
忍耐強い人だった。
そんな姉が悔しくて泣いたという。
女であるというだけで能力すら正当に評価してもらえない
そんな、理不尽な事があるのかと。
もう一生、NIS◯INの商品は食べない…!
と言っていた。
俺はめちゃくちゃ食ってるけど
特に最近
そんな姉を思いながら歌詞を書いた。
それでこの曲を姉が聴いた時
それを伝えたら
ボソっと
「あたしってこんなに、暗い…?」
と言われた。
タイトルが決まらず
悶々としていたある日
岩井俊二監督の
スワロウテイルを見た。
グリコが何故か
スワロウテイルの君と被って見えた。
これはもう
スワロウテイルだろう!
と
20歳の小高青年は安易に考えた。
スワロウテイル、好きな人も
隠れキリシタン的にかなりいる気がする。
(Vo.G.小高芳太朗)