LUNKHEAD曲解説ブログ,  アルバム,  プルケリマ

エレクトリック

冬の朝のブログで
地図の1曲目候補が別にあったと書いたことを
覚えている人はいるだろうか。
それが、そう
このエレクトリックだ!
結局
1曲目どころか、収録すらされず
2枚目の月と手のひらでもボツになってしまった不憫な曲。
ここら辺で入れとかないと
もう絶対お蔵入りやぞ…
という理由でプルケリマにやっと収録されることになったけども
まるでオマケのように6曲中の6曲目…
かっこいい曲なんだけどなあ…
コード進行も凝ってるし…
アレンジも凝ってるのに…
リフも、変拍子のようで実は普通に4拍子の4小節進行っていう
でも変拍子ぽく聴こえるという
間奏も凝っててかっこいいのに
大人達にも評価されず
結局リリース後も全然ファンのウケが良くなくて
ライブでもレギュラーとして定着することはなかった。
なんでや……
今聴いてもかっこいいぞ!!

間奏あけの落ちサビの部分
俺がボソボソなにか言ってるところ
あそこはアドリブでなにか言う予定で
ボーカルブースに入ったんだけど
「こないだ休みの時に、あのー、明日休みやけんあれしようこれしようと思いながら酒飲んどったら結局昼過ぎに起きて酒飲むだけで終わった」
と言ってるんだけど
録り終わってコンソールルームに戻ると
ディレクターナベさんが爆笑していた。
わかる!わかるー!!あるある!!と。
ナベさんは元々パンクバンドのドラマーで
酒飲みで
しかも酒癖が悪いのだ。

ギターは普通
弾き終わったらまずギターのボリュームを落として
そしてアンプのボリュームを落として
アンプの電源を切って
それからシールドを抜かないといけない。
アンプの電源を入れたままシールドを抜くと
ピョッ!とノイズが鳴ってアンプのスピーカーに良くない。
そんな事をやるのは不良だ。
だけどそんな悪い事を敢えてやるのもまた不良だ。
ロックとは不良なのだ。
エレクトリックの最後は
そうやって録音されたのだ。

ジョワァ〜ンヒョエェ〜ン
ガジョンガジョン
ハヒョ〜ンプヮ〜ン…ピッ

目を閉じながら聴いていると
情景が浮かぶ。

山下君が弾き終わって
ギターを肩から外し
床に置いて
(めちゃくちゃ歪んでるのでフィードバックしてる
4:29あたりのガジョンガジョンが床に置いてる時のノイズ音と思われる)
アンプのところまで歩いていって
電源が入ってボリュームも落としてない状態で
シールドをアンプから引っこ抜いている。
その引っこ抜く時の音が最後の
ピッ
ってわけ。
アウトロのそこのギターはオーバーダビングで録音されているので
俺らはコンソールルームで見ていたんだけど
やたら長えな…と思っていた。

そんな風に
めちゃくちゃロックに不良にレコードされたのだ。
エレクトリックは。
だけど
アンプからシールドを抜くのか
それともギターからシールドを抜いた方がいい感じなのか
はたまたエフェクターから抜いた方がいいのか
色々検証した。
検証してから録音した。
そして最高のピッ!が録れた。
そう
俺ら真面目
真面目にロックンロールしていたのだ。

エレクトリックが一番大好きなんです!
という人には、まだ
出会ったことはない。

(Vo.G.小高芳太朗)