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君とコスモス


理不尽と言っていいくらい
金槌で頭を殴られるように
暴力的に
恋に落ちたことがある。
あんなに人を好きになることは
もうきっと一生ない。
しかも、その人との出会いは
その人の恋人が現像して
写真部の部室で乾かしていた写真だった。
先輩が撮った
その人の写真を見て恋に落ちたのだ。
自分ではどうにもならないくらいに。

歳上のその人は
早稲田じゃなく慶応生だったけど
たまに部室に遊びにきた。
会えるだけで嬉しかった。
顔を見るだけで
声を聞くだけで
頭の奥がじんじんして
胸の奥がズキズキした。

その後、その人は先輩と距離を置くことになって
書ききれないほど
いろんなことがあって
俺はその人の心のそばにいさせてもらえるようになったんだけど

好きすぎるというのは諸刃の剣だ。
その人が喜べば正解
がっかりしたら不正解
間違えないように
がっかりさせないように
その人との会話のすべてが
究極の選択になってしまった。
常に崖っぷちを背にして立っているようだった。

追い詰められて
俺が耐えきれなくなって
逃げた。
あのまま一緒にいたら
心が壊れていたと思う。
言い訳だけど。

そうやって
嵐のようにその恋は過ぎ去って
終わった。

まだ想いを伝える前
何かの用事で二人でちょっと会うことがあった。
用事を済ませてちょっとお茶して帰る程度の。
その人は真っ赤な外套を着てきて
待ち合わせに少し早く着いた俺の顔を見て笑いながら
俺の頭をくしゃくしゃっとした。
それだけで、この世の幸せのすべてを手に入れたようだった。
このまま世界が終わればいいのにと思った。

(Vo.G.小高芳太朗)