LUNKHEAD曲解説ブログ,  アルバム,  プルケリマ

木漏れ陽

よく、LUNKHEADの木漏れ日って曲が好き…
みたいなの見かけるけど
木漏れ日じゃなくて木漏れ陽…すまぬ…

木漏れ陽も曲自体は合宿中に出来たんだけど
合宿のうちにギターアレンジを詰め切るまでに至らなかった。
合宿から戻ったらすぐツアー
月と手のひらのツアー
月とすっぴんツアー
そんでレコーディングが
ツアーファイナルの2日後とかからで
時間はかなりタイトだったにも関わらず
なんとツアー終了の安堵と疲れからか
あろうことか悟以外の3人が風邪を引いてしまったのだ。
俺なんかツアーファイナルのリキッドルームの日にすでに39度熱があって
真夏なのにガタガタ震えてて
個室の楽屋ひとつもらって
(リキッドルームは楽屋がいっぱいある)
暖房を入れてソファでグッタリしていた。
(だからといって中止にはしない貧乏根性…でもなんとか本番は声も出たし、言わなきゃバレないくらいいいライブだった)

そんなわけで
レコーディング当日
機材をセッティングして
それぞれ音出し始めて
椅子に座ってギターを弾く。
スタジオの中の立ち位置は

小 悟

龍 壮

みたいな感じで
俺と壮は対角にいた。
そして俺と壮はお互い恐る恐る
「どんなん弾く?」
と探り合い出した。
なんと、さあ今から録ろうかという段に至ってこの体たらく。
そこから、俺こんなん弾こうかな…
じゃあ俺はそれにハモる感じでこんなん弾こうかな…
とその場で決めてレコーディングしたのだった。
ものすごい突貫工事…
の割に、結構美しいアンサンブルに仕上がったのでよかった。
よくないけど…

Bメロが
主線に対してコーラスが追っかけで入ってくるところ
主線じゃなくコーラスに上ハモを当ててるのが
すごい気に入ってる。
最後の3声のファルセットのコーラス
ピッチを揃えるのがとても難しいので
ライブではギンギンにリバーヴをかけてもらってごまかしている…

だけどいつか忘れてくから
悲しいけれど生きていける

忘れる、とも、薄れる、とも、慣れる、とも違う
許される、とも、救われる、とも違う
なんとも言い難い感覚なんだけど
言葉にした時にいちばん近く感じたのが
だけどいつか忘れてくから
悲しいけれど生きていける
だった。

嬉しい事があれば笑い悲しい事があれば涙する
当たり前の生活を抱きしめて僕らは生きていく

この想いは俺の紡ぐ言葉、歌詞すべての根幹に今も昔も脈々と息づいている。
どんなに悲しくても苦しくても辛くても
当たり前に腹は減るしうんこは出る。
税金も年金も払わなきゃいけない。
働かなきゃいけない。
そんなにロマンティックには生きていけない。
残酷なぐらい
当たり前に、生活しなければいけない。
でも、それでいいんだ。
悲しみを抱えたままで笑ったっていいんだ。
美味しいものを食べて美味しいと思っていいんだ。
ささやかな幸せに胸があったかくなったっていいんだ。
突然涙が止まらなくなったっていいんだ。
それが生きていくってことじゃないか。
救われなくても
許されなくても。

木漏れ陽はすごくいいメロディだから
これは一発あるぞ、と思ってたけど
そんなことにはならなかった。
無念。
でも木漏れ陽が好きな人は多い。
多いんだけど
木漏れ陽が好きな人って総じて
なんていうの?
ひっそりと好きっていうか
自分の部屋に飾ってる
とても大切な写真みたいに
誰かと共有するものじゃなく
自分のためだけにある大事なものみたいな
そういう感じなのかな。
だから木漏れ陽好きな人って
ちょっと隠れキリシタン的なイメージある…
なぜか…
まあ、湿っぽい曲だからなあ
カナリアボックスとかみたいに
(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎ウェーイ!!!!
とはならんよな…笑

(Vo.G.小高芳太朗)