LUNKHEAD曲解説ブログ,  アルバム,  月と手のひら

YST

月と手のひらのボーナストラック
当時は、バンプの影響で
隠しトラックとかボーナストラックとかが流行っていた。
iTunesが普及して意味なくなったけど…
YSTは
もはや知らない人も多いみたいだけど
山下 壮の テーマ
で、YST
山中湖に曲作り合宿に行ってた時
壮の思いついたギターフレーズに合わせてセッションしながら作っていったので
これもう山下壮のテーマにしようぜ!
ってなったわけです。

歌詞は龍が書いた日本語の歌詞に
その発音に聞こえる英単語を無理やり当てはめていく
逆空耳アワー的な手法で
英語っぽく聴こえるんだけど日本語っていう

大体毎回相談しながらも
僕の脳は退化し続けて

だと

die tie my guy so down she not girl and more
broken know what tie cash to do Kay Ted

みたいな
これ、奥田民生さんが股旅の中のリー!リー!リー!って曲で同じ事をやってるんですね。
それのマネしました……

あとイントロの俺のフレーズはほぼ
VELVET REVOLVERのSLITHERだし
最後の
教師の息子〜ハッ!ヤウザ!
ってところは
完全にGuns N’ Rosesの
Mr.BrownstoneとWelcome To The Jungleの
最後の部分のパク…オマージュだし
ちなみにこの二曲は
兄貴の位牌ヤクザ、と、悦子の母乳だ!で
伝説の空耳アワー作品として大変有名ですね。
ヤウザって英語圏の人たちの掛け声とか
思わず出ちゃう声
日本語だと、うわっ!とか、えい!みたいな意味だそうです。

そうやってふざけ倒して作っていったんだけど
これが意外にカッコよくて
かといって普通にアルバムの曲として入ってたら異色すぎるし…
じゃ、ボーナストラックにしよう!ってことで
まあ、録ることになったわけですが
俺らこの頃まだ根岸さんにプロデュースしてもらってたんだけど
全曲プロデュースしてもらう予算はないので
シングル曲+何曲かみたいな感じだったうちの1曲に
なぜか事もあろうにYSTが選ばれて
(何故だか全然理由が思い出せない)
しかも根岸さんのアイデアで
わざわざビクタースタジオの48チャンネルのコンソールを通して
(コンソールとは皆さんがレコーディングスタジオと聞いておそらくパッと浮かぶ、エンジニアの目の前にあるツマミとボタンが沢山ならんだあのデッカいやつのことです。同じ金額で豪邸が建てられるぐらいめちゃんこ高いらしいです。)
根岸さんが持ってる宅録用の4チャンネルのテープのMTRに落とすっていう
贅沢というか無駄遣いというか…
(こういう曲はマジメに録っちゃダメだ!と、根岸さんはイタズラする子供みたいにはしゃいで楽しそうでした。俺らも楽しかったけども)
さらにこのテープのMTRが
エレファントカシマシのガストロンジャーを録ったMTRっていうからさらにびっくり。
ていうかガストロンジャーもそうやって録ったんかーい
ていうかあの曲根岸さんプロデュースかーい

普通に録れば48チャンネル使えるところを
最終的に落とすところが4チャンネルしかないから
ほぼ、エアー録音
普通ならドラムだけで
バスドラムに2本タムフロアで2本
スネアに1本(表裏に2本立てるエンジニアもいる)
シンバル類に3本とか
あとエアー(ちょっと離れたところに立てて部屋鳴りを録るマイク)を2本立てたらそれでもう
10チャンネル超えちゃうわけで…
それをマイク1本立ててそれで全部録っちゃう。
ジャズとかだと当たり前みたいだけど
セットバランスが良くないとダメだからドラマー自体が上手くないとなかなか難しいそうです。
(シンバルがうるせぇとかスネアが小さいとか、あとで調整できないから)

歌はさすがに、MTR使わなかった。はず。
それぞれブースに入って
適当に喚いたり呟いたりサビでYST!って叫んだり
間奏で喘いだり(これは悟だな…)

そうやって、最初から最後まで遊び尽くしてできたけど
今聴いてもカッコいいなあ
色々混ざりすぎてて
オルタナなんだかグランジなんだかハードロックなんだかメタルなんだかよくわかんないけど…
今なら普通にアルバムの1曲で入れちゃうかもなあ。

ちなみにYST
山下君の誕生日12月5日にちなんで
12トラック目の5分ちょうどから始まってるんです。
知ってた?

(Vo.G.小高芳太朗)