ENTRANCE 〜BEST OF LUNKHEAD age18-27〜,  LUNKHEAD曲解説ブログ,  シングル,  地図,  白い声

白い声

2003年、少しずつシーンに認知されてきた俺らは同じ頃瞬く間に頭角を現してきた椿屋四重奏と毎週のように対バンしていた。
呼ばれるイベント呼ばれるイベント必ず椿屋もいたのだった。
そりゃ、仲良くもなるよな。

才能溢れる人をつい羨んだり妬んだりしてしまうけど
そんな気すら起きないほどの圧倒的な才能を持った人が自分にとって何人かいる。
中田裕二はその1人で
歌唱力もギターも音楽の知識も作る楽曲も
すべてがズバ抜けていた。

で、ある日俺は
椿屋の初期の代表作、群青を
家で耳コピしていた。
冒頭のあの
ジャジャッジャジャッジャジャジャージャジャジャジャジャジャ
のところが、全然わからず
こうかな?こうかな?と弾いてるうちに
多分これ違うけど、これはこれでかっこよくね?
となって生まれたのが白い声のリフのコードバッキングだった。
4弦4フレット、3弦4フレット、1弦と2弦は開放でずっとステイ
6弦と5弦を使ってそこにF#→G→Aとルートを足していく。
なぜかこの曲はイントロがF#GAの3小節進行で
AメロはF#GA F#GABmの
7小節進行になっている。
ちょっと変則的なんだけど
自然な流れでいくと4小節進行なところを
1小節少なくすることでこの曲の切迫感がうまく表現できたと思う。

当時メレンゲと仲良くなった頃で
クボさんがくれたギンガをよく聴いていた。
チーコが好きで
チーコみたいな曲を作りたいなあと思っていた。
サビの
本当は誰かに伝えたくて

伝えたくて〜
の部分はまんまチーコなことに気づいた人はきっといない、はず。
それをずいぶん後でクボさんに電話して伝えたらすごく喜んでくれた。
(クボさんはきっと覚えてない)

その頃俺は学生時代からやっていたクレジットカード会社の深夜業務のバイトをまだ続けていて(時給が大変よかった)
ある日の明け方、バイト先のお台場からバイクで上井草のアパートに帰ってきた時に
突然サビのメロディが降ってきた。
最後サビの歌詞が
明け方6時なのは、そんな理由だったりする。

その時はまさかそれがメジャーデビュー曲になるなんて思ってもなかった。

当時俺は携帯電話の着メロ機能をシーケンサー代わりに使ってデモを作っていた。
機種変をする時は何よりも
着メロ15和音というオプションを最優先に選んでいたし
終いには、着メロ機能の中のサンプル音では飽き足らず
自分で合成して自分好みの音を作ったりしていた(凝り性なのだ)
あまりに凝ったデモを携帯で作るので
着メロ作るバイトすれば?とまわりから散々言われたものだった。
で、白い声も、同じように携帯でデモを作った。
だけどその時は、リフのコードバッキングとサビのメロディしかなくて。
Aメロもない。
曲のデモとしてはあまりにも心許ない。
だけど、やっぱり早く誰かに聴かせたい。
なのでとりあえず龍に聴かせた。
CLUB Queの階段だった。
龍は黙って聴いていた。
聴き終わった後
物凄いドヤ顔でニヤリと笑いながら
「これやな」
と言いきったのでびっくりした。
え?これで大丈夫…??
俺がむしろ不安なんですけど…
でもとにかく龍がピーンときてるんだからこれなんだろう。

そこからスタジオでみんなで曲を詰めて
環八沿いのすげーデカいスタジオでこの曲はレコーディングされた。
冒頭の印象的な俺のアルペジオは
当時使っていたラルクアンシエルのkenさんモデルの
ラブドライバーというオーバードライブで録音されている。
その白い声のMVをスペシャで見たkenさんが気に入ってくれて
武道館のイベントにまで誘ってくれることになるのはこの一年後の話。
今思い出しても、、とんでもない話だ。。
kenさん凄いなあと思うのは自分が気になった音が自分のモデルのエフェクターの音だったっていう。

ちなみに白い声の初披露は2003年の9月
下北沢シェルターでゼペットストアとやった2マンだった。
これもとんでもない話だ。

歌詞も1番と2番が君目線
Dメロからが僕目線
ていう
ちょっとめんどくさい書き方で
当時はそれが伝わらないとヤキモキしてたけど
今となっては、聴いてくれた人が好きなようにストーリーを足してくれればいいと思ってる。

あと、当時(今もだが)歌がヘタクソだったので
20テイク近く録ったのを
ディレクターが文節単位でいいところを切り貼りして
音源のボーカルは完成された。
バラバラどころかほとんどミンチみたいなもので
みんなウォー!!すげー!!
みたいになってたけど
1人でめちゃくちゃ悔しかったなあ。

タイトルにも凄く悩んで
週刊少年ランクでも話したけど
みんなで、ウンウン唸りながらひねり出した。
当時、白い巨塔が流行ってたからか、どうかは定かではないけど
白いって言葉が曲に合うんじゃないか?
ってところから
声にたどり着くまでが長かった。。
たどり着いたら早かった。
白い声、、いいじゃん
息が白い、みたいな
冬っぽさもあるし
なにより独白に近い歌詞にピッタリだ。
独白とか告白とかってまさに白い声だよな。
よし!
けってーい!!

そうやって紆余曲折を経て
白い声はめでたく俺らのメジャーシングルになり
15年経った今
みんなが大切に育ててくれて
すっかりライブでも笑顔で歌えるようになり
山ちゃんのギターソロは音源よりもずいぶん音が増えて超絶になった。
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追記

1番と2番は君目線
それ以降が僕目線
と、先のブログで書いたけど
もうちょっとつけたし

1番と2番は「君」の告白で
それ以降はそれを聞いた「僕」が思ったこと

なので、1番から2番まではよく見ると実は
歌詞カードには「」がついている。
ネットで検索すると端折られてるけど。

独りぼっちで生きていけると
生きていけなきゃいけないんだと
そういう風に思い込もうとした
強くなろうと心に決めた

と、きっと誰もが一度は思ったことがあるんではないだろうか。
多分、「君」の告白が強すぎて
白い声は鬱ソングとか中二とかいろいろ言われてたんだけど

昼あげたブログを読んで、佐藤静奈ちゃんがラインくれて

明け方6時に君と僕は
扉をひとつぬけたみたいだ

のところがこの曲の骨だって言ってくれて

まさにそうなんです。

独りぼっちで生きていけると
生きていけなきゃいけないんだと
そういう風に思い込もうとした
強くなろうと心に決めた

と思ってた。
それが強さだと「君」は思ってた。
そして「僕」も思ってた。
でもそうじゃなかった。
それに気づけた2人の物語なんです。
これはラブソングなんです。

1番と2番は夜なんですよね。
そんでソロあけの

そうやって独りで生きてきたんだって
君は笑いながらちょっと泣いた

のところはどっぷり真夜中で
午前3時ぐらいかなあ

そこからの最後サビで夜が明けていくわけです。

明け方ってちょっと特別で
まるで、世界に自分達だけしかいないような少し神聖な気持ちになると思うんです。
あの日俺はバイトから帰ってきて上井草のアパートで1人だったけど

2人だけに許された
2人だけが分かち合えた
孤独とか虚勢とか強さとか弱さとか
ああ、もう、そういうものを背負って生きていかなくていいんだ
っていう
そういうものが

君は寒くて震えながら
それでもとてもいい顔をしている
明け方6時に君と僕は
扉をひとつぬけたみたいだ

という言葉に込められているんです。

これは、LUNKHEADが、そして俺が
どんな音楽をやってきたのか
そしてどんな音楽をやっていくのか
どんな言葉を紡いでいくのか、を
メジャーデビューのタイミングで
決定的に決定づけた
マイルストーンみたいな曲だと思います。
この曲が生まれて本当によかった。
今でも
未だに
俺らと、きっと沢山の人にとって
大切な曲です。

君は独りかもしれない
俺も独りかもしれない
本当の意味では

だけど
独りで生きていく必要はない
解りあうことは大事じゃない
認めあい、分かちあい、笑いあって
生きていくことが
俺らにはできる