LUNKHEAD曲解説ブログ,  アルバム,  影と煙草と僕と青

この剣斬れる

2000年頃、山下君と俺は
司馬遼太郎の「燃えよ剣」という小説にずっぱまっていた。
新撰組の土方歳三が主人公の(だいぶ司馬遼太郎の妄想で脚色された)歴史小説だ。
その中で、一流の武士たるもの一流の名刀を使わなければ、と、トシちゃんが自分にふさわしい刀を探していた話が出てくる。
そんで、いろいろあって手に入れた和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)の切れ味を早く試したくて
わざわざ夜な夜な物騒な街をウロウロしてたそうで。
辻斬り相手なら斬り殺したって正当防衛じゃんていう、絶対勝てる前提のすんごい自信。
トシちゃんかっこいい。
で、現れた辻斬りをバッサリと右袈裟だか左袈裟だかで一刀両断して一言
「斬れる…!!」
と。
そのセリフにシビレあげて
歌詞書く前からタイトルはこの剣斬れるに決定していた。
曲もなんというか、山下君作のヘンテコでお江戸調なリフからそこはかとなく漂う幕末感。
スケールとか調とか全然わかってなかったので
めちゃくちゃなことになってるのに
何故か成立して聴こえる。
後々検証してもどうしてこのコード進行でこのリフが合って聴こえるのか未だにナゾ。
でもまあ、そんなわけで結構パンチのある曲なので初期(2000〜2002頃)のLUNKHEADはかなりこの曲にお世話になった。
ライブの一曲目の定番だった。
あんまりキャッチーでもポップでもないメロディだけど、当時の下北沢の雰囲気って
キャッチーでポップなものなんて媚び売ってるみたいでダサいぜ!的なところが少なからずあったので、そういうスレスレを狙って作っていたように思う。
アレンジに関してはもう完全にナンバーガールになりたいマン感が炸裂しまくっている。
初めて音源化したのは2001年かな?
赤盤というタイトルの4曲入りのep.で
悟がもっていたMDの4チャンしかないMTRで宅録したクッソ音悪い音源だけど
調べたら未だに5,000円ぐらいで売買されてるらしい。
歌なんか歌舞伎町のカラオケ館で龍と2人で録音した。
廊下に流れてたBGMの音がデカくて
龍がフロントに電話して音を下げさせるという荒業。
あの時流れていたのは
モー娘。だった気がする。
それは置いといて
あの日俺は、それまで歌ってたこの剣斬れるの歌詞が納得いかなくて書き直してて
だけど歌入れの直前になってもまだ歌詞が書けなくて
2時間待ち合わせに遅れた。
(そして最終的にトシちゃんは全然関係ない歌詞になった)
さぞ怒ってるだろうな…申し訳ない…
と思って待ち合わせ場所に行ったら
なぜか龍は満面の笑みで立っている。
聞くとどうも、待ちぼうけてる間にふらっとスロットに行ったら思いがけずバカ当たりして
止まらないフィーバーの中
仕方なく店を出てきたらしく
もっと遅れてくれてもよかった、と。

なので歌入れが終わった後龍んちに行って
龍がベッドの上からお札を
ほれほれぇ〜
と言いながら降らせて
それを俺が床に立膝ついて浴びるという
バカみたいな遊びをした。
んー懐かしい。

最近ではめったに、というか
まったくやっていない。
1月21日 下北沢CLUB Que
果たして、やるのか、やらないのか。

この剣斬れる
今はやらなくなったけど、LUNKHEADがLUNKHEADたるキッカケになった曲なのは間違いない。

あと、この曲は未だに愛用している
アイバニーズ製のCHORUS/FLANGERがサウンドメイクのミソになっている。
と、自分では思っている。

(Vo.G.小高芳太朗)