小高Blog


またやってしまった。

朝起きたら顔を洗うように
大人がお酒やタバコをやるように
ごく自然と、私は腕を切ってしまう。

最初は3年前、中学2年生の秋だったと思う。
きっかけなんてもう思い出せない。
大人がお酒やタバコをやるように。

集団でいることがとにかく窮屈になって
教室に入ると吐き気や頭痛がするようになって
私は学校に行けなくなった。

最初は随分と親を心配させて
いろんな病院に行ったし、いろんなカウンセリングも受けた。
それでも症状は変わらなかった。

切って切って切って切って
切るところがないくらい
私の腕は二の腕まで傷だらけだ。
もう切るところがないので太ももや首も切っている。

1度、親の目の前で腕を切ったことがある。
私が腕を切っていることは知っていたけれど
目の前で切っているのは初めてだったので
親はひどく狼狽していた。
私は少し興奮状態だったので
思わず叫んだ。
「私は、リストカットが悪いことだとは思わない!
 私は!生きるために切ってんだ!!」

いっとき、家中から刃物の一切が消えた時がある。
おそらく両親が私を心配して隠したのだろう。
だけどもそんなことは無意味だ。
コンビニやドラッグストアに行けば剃刀もカッターも買える。

だけど私が親の目の前で腕を切った日から
刃物は元通りの位置に戻った。
後で聞いたら
「死なないでくれたらもうそれでいい」
とのことだった。

中学2年生の春
私がリストカットを初めて半年した頃
幼馴染の同級生が亡くなった。
朝だけなんとか行けた学校のホームルームで伝えられたそれは
理由は告げられなかったけど
告げられなかったからこそ
自殺だったんだと確信した。

私も親が寝静まった深夜に、死んでやろうと思って
包丁をお腹に突き立てたことがあった。
だけども怖くて、体が震えて
そこから1ミリも動けなかった。

あの子はどんな気持ちで死んでいったんだろう。
世界を恨んでいたかな?
憎んでいたかな?
痛かっただろうか
苦しかっただろうか
救われたんだろうか
たった14歳で
この世界に見切りをつけて
それほどの絶望を
悲しみを、諦めを

私にはできなかった。

今日もどこかで人が死んでいて
生きたかった人も
死にたかった人も
たくさんの人が死んでいて
その死体の山の上で笑ってるやつらがいる。

この世界は残酷だ。

少し深く切り過ぎてしまったみたいだ。
血が止まらない。
だけど大丈夫だ。
この程度で死にはしない。
そう思いながら

排水溝に流れていく赤い血を
ただ見つめていた。