LUNKHEAD曲解説ブログ,  青に染まる白

群青の降る夜 おだか

群青の降る夜は
最初、デモの段階では
俺がもっとリズミカルな
チャッチャッチャッチャカチャッチャッチャッチャカ
って感じのバッキングを弾いてた。
というか、それがまずあって曲を作っていった。
なのでそのチャッチャッチャッチャカは自分の中で結構キモだった。
だけどもだっけっど~
スタジオでアレンジを練っていってる時
どうもリズム隊がチャッチャッチャッチャカについてこなくて
まったりというか
音源の感じでかためにいっていたので
んーこれはどうもチャッチャッチャッチャカは合わんな…
と、ある時チャッチャッチャッチャカを弾くのをやめた。
そしたら壮がそれを見ていて
「そのバッキングがキモなんじゃないの??
こいつ…弾くのをやめた…」
と驚いたそうな。
だって合わないんだもん。
そういうことはよくある。
それはもう4人で作ってるわけだから
デモから激変することは往々にしてある。
あまりにかけ離れすぎて収拾がつかなくなってボツになることもよくある。
俺は結構デモをかっちり作り込むタイプだけど
それはまず俺のイメージをはっきりメンバーに伝えるためであって
その通りに演奏しろってわけではなく
むしろそこからみんなのアイデアが盛り込まれていって
曲が化けていくのが楽しかったりする。
で、このチャッチャッチャッチャカの話は
当時取材とかで壮がマストで話していた気がする。
よっぽどビックリしたみたい。

サビ前のベースだけになるフレーズのところ
あそこはデモのフレーズをそのまま弾いてもらってるんだけど
人間が弾くのは意外に難しかったみたいで
(デモだとベースは打ち込みなので)
結構何度も弾き直していて
クロスロードスタジオの井上さんと悟で
いいんじゃない?と納得できたテイクが録れたというので
聴いてみるとどうも、頑張って弾きました感がある。
「そこさあ、なんかこう、頑張って弾いた感が出ちゃってるんよね
もっとさらりと弾いて欲しいんよね」
と伝えると悟は
「頑張って弾いてるんだから仕方ないじゃん…」
と。
そして鬼軍曹発動
「100回ぐらい弾いたら1回くらいうまくいくんじゃね」
ということでそこから
俺が納得するまでひたすら同じフレーズを弾いてもらうという地獄ターンに。
さっくん、申し訳なかった。
おかげでいいテイクいただけた。ありがとう。

全体的にこう、ハデさもないし
シブさしかない曲だけど
曲としての完成度はとても高くて俺はすごい好きです。
歌詞も、気に入ってて。

いつだか俺らの肉体は輪廻しているっていうブログを書いた気がするんだけど
星の欠片の時かな?
俺らの体は大体炭素と窒素と水素と酸素でできていて
あとは鉄とか亜鉛とかいろいろあるんだけど
俺らの体は大体3年くらいで骨まで入れ替わるそうで
そしたらその前の俺らの体だった炭素とか窒素とか水素とか酸素はどうなるの?
というと
この地球を巡り巡って
今頃アルプスの山の野花になってるかもしれないし
そして今の俺らの体を作ってるものは
いつかは火山口で暮らしているクマムシだったかもしれない。
そして俺らが最後灰になるのか土に還るのかその時
俺らを作ってる炭素や窒素や水素や酸素は
またバラバラになってこの地球を旅するわけです。

で、群青の降る夜は
水のことを歌っている歌詞です。
群青ってのは水を比喩してます。
水もまた、この地球を巡り巡って循環しているのだなあ
とある時思って。

今、あなたから零れ落ちた涙は
かつて小鳥の羽を濡らした夜露だったかもしれない。
またいつかは砂漠の井戸で子供達が汲んだ泥水だったかもしれない。
またいつかは青い夢を見ている魚が住む海の水だったかもしれない。
またいつかは戦場で打たれた兵士が飲んだ最期の水だったかもしれない。

それが今、長い長い旅の果てに
遠い国の部屋で涙になって零れ落ちていると思うと
なんだかものすごいスケールのデカい話だな
と思うのです。
そしてその零れ落ちた涙も蒸発し空に還って
また物語が続いていくっていう。

そういう妄想をするのが好きで
(酔っ払って宇宙や物理の本読むのもトリップしてきて楽しい)
そういう話を悟にすると
全然楽しくない。と言うんだけど
(割と壮はそういう話を面白そうに聞いてくれる)
歌詞としてはすごく綺麗な歌詞だと思う
と言ってもらった気がする。

ピアノを打ち込んだんだけど
意外にピアノがいい仕事してる。
これも前書いたと思うけど
ピアノはあんまり弾けないけど
毎日姉が弾くピアノを聴いていたせいか
フレーズは浮かぶんです。
弾けないけど。