LUNKHEAD曲解説ブログ,  青に染まる白

潮騒 おだか

潮騒はとっても人気がある。
青に染まる白の曲の中で間違いなく
ダントツでライブでやってる。
作ってる時はこんなにウケるとはまったく思ってなかった。
盛り上がるだろうと思ってちゃんと盛り上がる曲
盛り上がると思ってたらそうでもなかった曲
そんな盛り上がらんだろうと思ってたらめちゃくちゃウケた曲
色々あるけれども、潮騒は完璧にみっつめ。
歌詞がアンニュイだと曲がイケイケでもあんまり盛り上がらない傾向にあるけども
潮騒はメンバー個々の卓越したプレイが歌詞のアンニュイさに勝った。
と、思う。
あと、歌詞もよくよく読むとアンニュイなんだけど
言葉の選び方がうまくいったのか
耳で聞いてる分には綺麗だけどあんまりアンニュイに聞こえないのが良かったのかもしれない。
インディゴみたいな
風景描写の方が意識として優先されるというか。
どうしても「潮騒が爆ぜる」という言葉を使いたくて
それで相当四苦八苦七転八倒した。
すんげー歌詞を何度も書き直した。
この歌詞に出てくる海は
新居浜の垣生海岸です。
垣生海岸から見える磯浦の方の住友化学の工場の灯りが本当に綺麗で
新居浜の景色の中で別子の山から見下ろす燧灘と肩を並べるくらい好きな景色でした。
俺の中で新居浜は本当に「退屈なだけの街」で
だけどもやっぱりとても大事な街だったんだな、と。
その、自分の記憶の中の新居浜の夜の海を舞台に
お話を考えて歌詞を書いたんだけど
これは何かでも言っただろうか
百日紅かな?
決して忘れたくない悲しみや寂しさがある。
いつの日か後悔するとしても。
俺、潮騒の歌詞とても好きなんですよね。
いつの日か打ち寄せたガラスみたいに
優しく丸く淡く変わっても
のところ

木漏れ陽で
だけどいつか忘れていくから悲しいけれど生きていける
と歌ったんだけど
本当に忘れる訳ではないってことを言い切れなかった
(でも木漏れ陽はこれでよかったと思ってる
忘れたっていう事実、ではなく、忘れていくっていうある種の希望、だから)
そこの言い切れなかった部分を潮騒でちゃんと歌えた。

打ち寄せたガラスみたいに優しく丸く淡く変わっても
消えるわけじゃない。忘れるわけじゃない。
何度でも傷を開いて
気が狂う痛みがいつまでもずっと癒されないように

一番と二番の対比もとても気に入っております。
一番に対して二番はさらにずいっと踏み込んでるところが。

潮騒は最初にリフができて
そのまま間奏の前半ができたのかな。
間奏の前半はリフを変化させた感じなんだけど
俺は四分のフレーズ、悟がそこに裏で入ってくるフレーズ
そして山下君はずっと付点八分で
チャッッチャッッチャッッチャッッチャッッ
と弾き続け
最後にみんなが揃うっていう
これは本当にリズムをとるのが極ムズで
スタジオでアレンジを練ってる時に
山下君は度々錯乱していた。

俺も思いついちゃった時に
これめちゃくちゃ難しいな…と思ったけど
まあ、弾くの俺じゃないし~♡
と思ってなんとかデモは作って
あとはよろしく!みたいなノリで
おまえふざけんな!!と
山下君にたいそうキレられた記憶がある。
でも思いついちゃったんだもん。

山下君は付点八分のリズムをとるために
うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ
と唱えながら練習していた。
でも、よく聴くと桜井さんがシンバルでガイドを入れてくれてるのだ。
優しさ。
っていうか桜井さんすご。。

あと、頭のリフだと悟がスラップでドンペペドンペぺやってるんだけど
アウトロのリフの時はずっしりとルートを刻んでくる重厚感が
ライブでやっててもめちゃくちゃ好き。
あのずんとした感じがミニマムなところからバッと景色が俯瞰に広がるようで
歌詞のストーリーにめっちゃ合っててとてもドラマチックだと思う。

潮騒はとにかくリズムリズムな曲なので
リズム隊好きな人にはたまらん曲でしょう。
間奏あけのドラムソロのところ
ライブだと桜井さんがアドリブですごいのかましてきたりする。
一回いつだかのライブで
あまりに凄すぎて聞き惚れちゃって
「今」って最後サビの頭の歌詞歌い忘れたことがある。

そしてギターソロも速い。
例によりデモをみんなに送った時
ここの間奏はめちゃくちゃ速いギターソロが入ります。
と添えたら
山下君は確かにめちゃくちゃ速いギターソロを入れてくれた。
トリッキーな間奏の前半からの高速ギターソロ
混沌と調和

混沌と調和も常にアレンジする上で心がけていることです。

そんなわけで潮騒は
どこを切り取っても好きしかない曲で
なのでみんなにも潮騒好きって思ってもらえて本当に嬉しい。
ライブでも
ドラムつなぎで入れるし頭で煽りやすいし
テンポ的にもライブ序盤でも終盤でもどこでも使いやすいし
本当にできる子!!