LUNKHEAD曲解説ブログ,  孵化

誰かじゃなくて

誰かじゃなくては個人的にはすごい好きな曲で
一定数、すごい好き!という人がいる気がする。
実は、LUNKHEADが歌ってきたことのほとんどが凝縮されてるんじゃないか?
と、思っている。

サビメロをそのままリフにしたのはこれが初めてだったかな?
リフはこうやって弾いてくれん?と言ったとき
実はあんまり山下君が乗り気じゃなかった。
だってこれサビメロじゃん
みたいな。
俺が考えたリフを弾くのは抵抗ないのに
不思議なものだ…
簡単すぎるからなのかな?
でもこの曲はサビメロをリフにする必要があった、と思う。
なんていうのかな
無駄な要素を削ぎ落としたかった、みたいな。
ぐわー!!っとバンドだな~と
音源を聴き返してみると思う。

こうやって聴き返すと本当に不思議で
どの曲もみんな、俺の歌詞がみんなに乗り移って
一丸となって言葉を音で紡ぎ出しているように聴こえる。
けど実は
俺は歌詞を書くのがめちゃくちゃ遅いので
書き上がるのがレコーディングギリギリだったりしてた。
このころは。

ある意味、歌詞を書く作業は
アレンジをしていく中でみんなの音に呼ばれて
この曲は何を歌われたがっているのか?を探す作業で
そして書きあがった歌詞に対して更にメンバーが呼応していく
音と言葉のフィードバックみたいな
そうやって俺らは曲を作っていた。

二番のAメロの
加速する世界
のところの加速感めっちゃ気に入っている。
歌詞とアレンジとどっちが先だったんだろうか。。

誰かじゃなくては弾き語りでも割と歌うし
結構、歌謡曲テイストがあって
それが良かった。
どうやっても大丈夫、的な
土台の安定感があった。
だからどれだけみんなでゴリゴリにしてもブレることがなかった。

職業柄
この世界のどこかにインプットがないかと
常に目を配らせてしまう。
電車の中吊り広告
駅のポスター
耳に入る町のBGM
聞こえてくる会話
テレビ、映画、小説、漫画だけじゃなく
触れる全部に答えが隠されてるので
なんだかだんだん
自分の本当の感動がよくわからなくなる時がある。
でもそれは、ただ自分の上っ面がわかってないだけで
本当に感動する時は自分の上っ面なんて関係なく
ガビーン!!としちゃうのだ。

なんか駅に貼ってあったACのポスターを見て
ガビーン!!ときて
それで歌詞をダダー!!と書いたんだ。

孵化のプロモーションで
日本放送のミューコミというラジオ番組に出演させていただいた。
とても人気の番組で、パーソナリティの吉田さん(通称ヨッピーさん)は
めちゃくちゃ有名人なんだけど
そのよっぴーさんが
「人混みが嫌いなのは 透明になった気がするから」
という歌詞をめちゃくちゃ褒めてくれた。

独りでいる孤独より
大勢の中でいる孤独の方が寂しい

ってことを歌いたかったんだけど
それももう10年以上前で…
今や、その寂しさすらどうでもいいというか
むしろ心地よくなってしまったな…

それは
未だに捨てきれない
誰かじゃなくただあなたに
誰かじゃなくただあなたが
必要なんだって言われたいから
の裏返しなのかもしれないな。

(Vo.G.小高芳太朗)