LUNKHEAD曲解説ブログ,  孵化

ぐるぐる

ぐるぐるは最初
もうこれは口にするのもおこがましい話だけど
四つ打ちでゴリっとしたギターリフでぐいぐい押していく
BOOM BOOM SATELLITESみたいな
ハードでかっこよくてオシャレなダンスビートの曲を作りたくて始まった。
しかし、始まったものの、どうもうまくいかない…
他の曲はわりとちゃんとメロディがしっかりあって
AメロBメロサビとはっきりしているので弾き語りでも伝わりやすいけど
こういう雰囲気重視な曲は口頭でなかなかイメージを伝えきれない。
今みたいに自分でデモを作れてたら違ったのかもしれない。
スタジオでみんなで合わせて手探りで進んでいくしかない中で
なかなかメンバーみんなで同じ方向を向けずで
どうにも中途半端な感じになってしまっていた。
一応、曲出しレコーディングで録音してみたけど
メンバーの中では「これはないな…」という暗黙の雰囲気が漂っていた。
そんな曲出し会議で
アー担の菊地さんがドヤ顏で言った。
「これは絶対アルバムに要るでしょ」
(この頃、アー担は菊地さん、ディレクターは菊池さんの、Wキクチ体制だった。ただ、アー担の菊地さんはつちへんの菊地で、ディレクターの菊池さんはさんずいの菊池、むしろややこしい)
きらりいろの時もそうだったけど
菊地さんは元々アメフトをやっていてガチムチのムキムキだったが
普段はめちゃくちゃ温厚で優しくて穏やかな人だった。
しかし一度スイッチが入ると
目が座り、めちゃくちゃドヤ顔で「俺のLUNKHEAD」を推してくる(ありがてえ…)
ぐるぐるはそんな圧倒的菊地推しで
アルバムに収録されることになった。

そして話は急展開する。
どうせやるならとことんやろうぜ!ということで
まず根本的にリフが変わった。
全然違うリフになった。
元はもうちょっとポップだった。
元々メロディがあったAメロは語り(っていうか叫び)になった。
(一応、元々あったAメロのメロディを裏でギターで入れてる)
どうせやるなら、ということで
なぜかメンバー全員一気にやりたいことが明確になった。
やってやろうじゃないか。半端なことはやるまい。
ここからはあんまり行き詰まらなかったと思う。
どんどんヘンテコな曲になっていった。
歌詞もどんどんヘンテコな感じで書けていった。
BOOM BOOM SATELLITESからは程遠くなった。
メンバーみんなラリパッパになって
そこにエンジニアの佐藤さんのイカれ具合が加わって
LUNKHEAD史上最もハジけた曲になった。
こういうのはファーストテイクのテンションが大事ということで
歌も一回しか歌わなかった。
(一回しか歌えない、と決めて歌うのは、っていうか叫ぶのはめっちゃスリリング。噛んだら終わるし尺超えたら終わるし…)
そしてぐるぐるは完成した。
タイトルもこれしかないと思った。

完成したぐるぐるはもはや原型をとどめていなかった。
俺らはそれを菊地さんに聴かせた。
「菊地さんのおかげでめっちゃすごい曲できましたよ!」
と。
菊地さんの目は泳いでいた。
「あ…あぁ…うん…」

レコーディングだとかなりギターを重ねている。
俺もリフを弾いてるし
高い方のポジションでもストリングスっぽくフレーズが入ってる。
なので
最初の頃は俺もギターを弾きながらライブで演奏していた。
ベストアルバムが出てそのツアー中にアルバムが出るという
イレギュラーなツアー、エントランチュツアーの頃だった。
きっかけはどこだったんだろうなあ?
なんか、小高ギター弾かなくていいんじゃない?って話になって
俺としては結構、自分のパート大事だと思ってたから
ギター弾きたいなあと思ってたんだけど
ツアーが終わる頃にはすっかりハンドマイクの曲になっていた。

そしてぐるぐるはどんどん化けていった。
アルバム「孵化」のリリースが発表されて
曲のタイトルだけが解禁になった時
ぐるぐるというタイトルで結構(悪い意味で)ざわざわされていたぐるぐるは
いつからかLUNKHEADのキラーチューンになった。
とは言ってもここからまた紆余曲折があって。
龍が辞めた頃の俺らは(ていうか俺一人が)
ストイックでなければいけない。楽しんではいけない。
もっともっと鋭くならなければいけない。
という負の感情に追い詰められていた。
それを結果、ファンのみんなにも強いていた。
俺がファンのみんなを追い詰めてしまっていた。
その頃のぐるぐるは、とても暴力的だったと思う。
それで離れていってしまったファンの人もいるだろう。
それでもついてきてくれたファンのみんなの
ライブで笑ってくれるその顔に気づかされた。
目の前のみんなを楽しませるためのライブなのに
俺らがしんどかったらみんなを楽しませられるわけないんだ。
俺らがまず楽しくなくっちゃ意味がないんだ。
そうやってぐるぐるは戻ってきた。

ぐるぐるの前に俺が必ず言う
「かかってこい!」は
わかる人にはわかるのだろうけど、オマージュなんです。
最初はオマージュだったんだけど
今ではもう「かかってこい!」を叫ぶと
みんなの「ぐるぐるキター!!」感が伝わって来る
もはや曲の一部みたいになってしまっている。
そしてラスサビ前のブレイクのところも
なんかちょっと気の利いたことを言わなきゃいけない、みたいなゾーンに…
これがすごくプレッシャーなんだけど
あんま考えるとスベるから最近はあんまり考えないようにしている。

でサビに戻るきっかけでいつも言う
「愛してるぜ!愛してるから!愛してるってば!!」
も、前にツイッターで書いたけど
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブビデオのオマケ映像で
ドラムのクハラさんが酔っ払ってカメラに言ってた言葉を
そのまま使わせていただいてるっていう。
これもいろいろパターンがあったけど
すっかり定着したなあ。
やっぱ愛なんだよ。愛。

ただ、ぐるぐるは
やる以上は必ず盛り上げなければいけない曲なので
それこそ半端な気持ちでは演奏できない。
なので、心身ともに
とっても疲れる。
でもみんな楽しそうだから嬉しい。

719のリキッドの動画見ながら書いてるんだけど
完全に目がイっちゃってるな…
ていうか、もうちょっとで10000再生超えるじゃん
ありがたやー!
ライブも待ってます!!

(Vo.G.小高芳太朗)