LUNKHEAD曲解説ブログ,  カナリア ボックス,  シングル

星の欠片

星の欠片の原型は月と手のひらの時の曲作り合宿ですでにあった。
あったといっても、イントロとAメロのコード進行だけだけど。
F#m7 ??? Esus4 E
なんだけど2個目のコードがよくわからない。
Esus4/G#??
よくわからないんだけどなんかよくて
しかもこれ1人じゃ弾けない和音で
だからギターじゃ弾き語りで歌えない…
(俺は弾き語りでは歌えないけど、ロストインタイムの海北君が、確か2枚目の海北盤でピアノ弾き語りでカバーしてくれてて、それがむちゃくちゃ良いので是非聴いてほしい。自分で言うのも悲しいけど、俺が歌うより遥かに、というか比べるのもおこがましいほど良い曲に聴こえる。)

最初はなんていうかもっと軽快な、灰空みたいな曲になる予定で、仮タイトルは「サワヤカ」だったけど、全然そっちには行けないでボツになってるうちにだんだんアンニュイな方向にシフトして全然サワヤカじゃなくなった。
だけど、メロディも歌詞もめちゃくちゃ気に入っていたし
それこそ海北君とかセカイイチの慧とか
星の欠片を絶賛してくれるバンドマンが沢山いたので
収まるところに収まった曲なんだと思う。
光を見る、祈りを聞く、痛みを知る
サビの韻の踏み方とか、おお…俺すごいやん…と
歌詞が書けた時は密かに自画自賛していた。
1Aの雨の感じもすごい好きなんだよな〜

そんなわけで星の欠片はカップリングのくせにNo.6と違ってわりかし人気があり
(そういえば桜井さんも好きだな。ていうかいかにも好きそうだな〜)
なんと日比谷野音ワンマンでも演奏したし
数ある曲達の中からREACT2の収録曲にまで抜擢されたのだ。
オリジナル音源の時は
せっかくだからとカナリアボックスのマニピュレートをお願いした方についでにこの曲にもピアノを打ち込んでもらうよう頼んだら
ちょっと引くくらいすごいのが入ってきちゃったので、正直メンバーもエンジニアもナベさんも引いた。
なのでライブでやる時、音が少なくて寂しいかなという気が最初はしたけど
REACT盤を聴くと、4人の方もとってもいい。
むしろいい。

青い星の欠片のあなたと僕

なんともロマンチックな表現のようで
実はこれはすごく理系的な考え方で書いた歌詞なんです。
俺は前世とか輪廻とかを信じる、というか
魂の存在とかオカルト的な事はわからないけど
少なくとも俺らの肉体は物理的に巡り巡って受け継がれているんですね。
俺らの体はだいたいほとんどが
炭素、窒素、酸素、水素でできてて
あと鉄とかカルシウムとかマグネシウムとかいろんな原子が少しずつ含まれてます。
その俺らの体を作る原子達は俺らが死んだら地球に帰って巡り巡って何かになり、無くなることはないのです。
腐ろうが焼かれようがそれはただの化学変化が起きているだけで原子自身は無くならないのです。
なので地球上に存在するそれぞれの原子の量は概ね変わることはないんです。
(衛星やロケットが宇宙に行ったり、隕石が落ちてきたりすれば多少変わるけど)
俺らの体を作る原子達は、今たまたま俺らなだけであって
いつかはマリアナ海溝の深海魚だったかもしれないし
キラウエア火山の溶岩だったかもしれないし
南極の氷だったかもしれない。
いつか未来で俺とあなたは一頭のアフリカゾウになってるかもしれないし
アマゾンのアリになってるかもしれない。
そう考えると、俺らの体は間違いなく、青い星の欠片なんです。
本当に俺とあなたは同じ地球から産まれてきたわけです。
そういう意味での
青い星の欠片のあなたと僕
だったのです。

みたいなことを説明すると、きっとほとんどの人にドン引かれると思って(悟はまず間違いなく目が死ぬ)今まで言わなかったんだけど
むしろ俺にとってはこうやって考える方が
なんだか壮大で果てしなくて

ロマンチックに感じるんだよなぁ。

(Vo.G.小高芳太朗)