赤 曲解説
曲順とは違うけれど
なんとなく、こういう流れでこの3曲ができていったんだってところにも意味があると思うので
曲ができていった時系列順で語ろうと思います。
赤ができたのはもう2年前になるのか。
初春だったと思う。
近所の公共団地が敷地内で毎週末バザーをやっていて
焼きそばを売ってたり、豚汁を売ってたり
野菜を売ってたり、小物を売ってたり
ちょっとした地域のお祭りみたいな。
ああいうのがとてもいいなと思う。
日々のささやかな喜びや幸せをおすそ分けしてもらえる感覚になる。
そして俺は犬の散歩をしていて
そのバザーの横を通りがかった。
ラジカセ(ってもう死語?)で音楽を流していて
(まだあるんだ、とも思った)
女性ボーカルのその曲はとてもいい曲だった。
俺は知らない曲だったけど
で、その曲のメロディを口ずさみながら家に戻ってたら
途中からうろ覚えでよくわかんなくなった。
けど、こうだったっけ?どうだったっけ?と反芻してたら
元とは全然違うけど
なんかいい感じのメロディが頭に残った。
なのですぐにギターを抱えた。
それでできたのが赤だった。
Bメロもサビもちょっと階段的なメロディのフレーズが気に入っている。
特にBメロはなかなかうまくいったな~と。
そういう曲のでき方は割とある。
俺が初めて買ったバンドスコアは
B’zのIN THE LIFEだったんだけど
その冒頭のインタビューでも
尊敬するB’zの松本氏は
真似すればいいんだよ。絶対に本物通りにはならないから
その本物通りにならないところが君のオリジナルなんだから
というようなことを言っていた。
あれは未だに俺にとっての金言なのだ。
だからパクリじゃないぞ!!
だって元のメロディ覚えてないし。
世の中の曲はすべて12の音の組み合わせでできているのだ。
歌詞は割とすぐに書けた。
その頃、思うところがたくさんあったから。
これを歌詞にしてもいいものか…という葛藤もあったけど
いざ書けた歌詞をメンバーに見せたら
壮が
「これは歌詞にしなきゃダメだよ」
と言ってくれて
(そんなこと言った?ともう忘れてやがるが。クソがっ!)
だし、この曲にこれ以外の歌詞はないとも思った。
だけども、リノセントぶりの新曲で
じゃあ聴いてください『赤』
ってのもあまりに重すぎてしんどいし
待たせた新曲ってもっとパッとして景気のいい方がいいよねって
だからバンドでやるのはちょっと置いておこうって話になって
だったら小高ソロでやってみればいいんじゃない?
という悟の提案もあって
そこから1年はずっと弾き語りで続けてきた。
で、25周年ツアーの中で、この歌が終わるまでができて
それをツアーの中でやるようになって
やっと、いざ、じゃあバンドでやってみようかって話になって
25周年ツアーの下半期は割とこの『赤』がキモになってセットリストを決めていった。
それは新しいLUNKHEADでもあったんじゃないでしょうか。
25年間、性懲りも無く同じようなことを歌い続けてきた俺らの曲が、赤という曲を通じてひとつの物語を作る、それが下半期ツアーのひとつのテーマでした。前のブログにも書いたけど、赤という曲を今作ったからこそ、速い激しい曲の底にある静の部分、闇の部分を感じてもらえたツアーになっていったんじゃないかと思う。
いろんな曲をやりましたが、きっと今までとは聴こえ方が少し違ったんじゃないでしょうか。
ライブで披露するためにもちろんみんなでアレンジをするのだけど
赤はツアーの中でだいぶアレンジが変わっていった。
細かいところを書いていくとキリがないんだけど
曲を作るパターンで
リフから作る場合とメロディから作るパターンがある。
で、さらにリフから作っても山下君が変えていい?というパターンもあるし
めっちゃ適当にとりあえず入れといたリフをそのまま活かすパターンもある。
赤はリフが浮かばなかったので山下君に丸投げしたら
とてもよいリフのデータが届いて
「リフめっちゃよかった」ってLINEしたら
「ほんと?良かった~」と返ってきた。
なんか物悲しくて寂しくて、でも泣いてるような、叫ぶような
いいリフだと思う。
Aメロに関しては、最初、悟のベースだけにしたかった。
複弦でふわっとした感じにしたいと伝えていたのだけど
Am7→G/B→Fadd9/C
っていう少し独特なコード進行なので
悟も最初は戸惑っていて
ツアーの序盤は補足的に俺もギターを弾いていた。
けどもいざレコーディング!!
ってなった段階でしっかりまとめてきてくれたので
それからは俺は1番と2番のAメロはギターを弾かなくなった。
ポツンとひとりぼっちの昼下がりの寂しい感じがうまく表現できたんじゃないかな。
ドラムに関しては、桜井さんにしては珍しく?
割とデモに忠実というか
リフやBメロのスネアのロールの感じとか
全体的な大きい感じとか
俺が頭の中で描いていたイメージ通りに仕上げてくれた。
最後のドラムのロールまで
この曲はこのドラムのアレンジが結構キモだと思ってる。
そんな感じで赤は晴れてLUNKHEADの曲になれたというわけです。
重たいし、しんどいし
誰かを励ませられるような曲じゃないかもしれない。
だけども別に俺はこの曲で誰かを励ましたいわけでも
元気付けたいわけでもない。
100%エゴです。
それでも、どこかの誰かの日々の隙間に
寄り添える曲なんじゃないかなとも祈ってます。