この歌が終わるまで
赤が出来て、でもこれはLUNKHEADの新曲です!って感じではないよねってなって
1年くらいソロでだけ歌ってきた中で
そろそろ新しい曲作らないとな…と思っていた時に
何かの動画で
人間は4分呼吸が止まると意識を失ってそのまま死に至るってのを見て
4分って、ちょうど1曲分の長さだなあと思って
それで曲のタイトル、というかテーマが決まった。
そこから曲を作り始めた。
なので頭の俺の弾き語りの部分は最初にできた。
そこからストーリー作りが始まった。
やっぱり久々の新曲だし
パカーンとした曲にしたくて
イントロはどかーん!!とした感じにしたかった。
特にドラムはオンドリャー!!な感じをイメージしてた。
そんな感じで曲を作っていったんだけど
全体的に緩急をとても意識した。
ひっそりと始まってイントロでどかーん!!ときて
そしてAメロでヒュッと真夜中になる感じ。
からのBメロでリズムを刻む感じ。
俺は100%曲が先だけど、今思えば作曲の時点で歌詞の着地点もある程度見えてたのかもしれない。
あんまり歌詞を書く時に悩まなかった気がする。
テーマが決まっていたから。
このテーマを探し当てるのにいつもめちゃくちゃ苦労する。
うちにかえろうとか、2週間1文字も書けず
テーマ…テーマさえあれば…と悩んでいたけど
自転車に乗っている時に、ふとシチュー…シチューか!!と思い浮かんで
そうすると家に帰るまでにほぼ頭の中で歌詞が出来上がっていた。
歌詞が書ける時なんてそんなものなのです。
曲はとにかく王道にしてやろうと思って
どポップに攻めたつもりなんだけど
結果意外に凝ってしまった。
Aメロは
Bm→G→D→A
Bm→G→A→D
と、小賢しい展開になっている。
でもこれが、デモの時点では
Bm→G→A→D
Bm→G→A→D
になっていて、その後
Bm→G→D→A
Bm→G→A→D
の方がいいなと思って、その旨を壮と悟に伝えたんだけど
ツアーの中で新曲としてやっていく中でみんなうろ覚えになっちゃって
いざレコーディング!!という際に悟が
Bm→G→A→D
Bm→G→A→D
で弾いてて
いや!違う違う!!ってなって
その場でアレンジし直してもらったという。
(ほんとコンポーザーというのは常に目が離せないからレコーディングは大変なのです)
ライブで散々やってきたのにライブだとわからんものだなあ。
悟のベースラインは最早ベースと呼べるのか?というくらい動くから
ライブだとちょっと気づけない。
壮はちゃんと
Bm→G→D→A
Bm→G→A→D
でフレーズを組み立てていたので
なんかビミョーにベースラインと音が合わないなと思っていたら
それが原因だった。
サビも、これはよくあるパターンなんだけど
繰り返しているようでずっと微妙にコード進行が変わる。
DonF#→G→A→D
Bm→G→A→D
Bm→G→A→A#dim
Bm→G→A
こういうのは意外によく使う。
魚の歌とか、果てしなく白に近づきたい青とか。
スターマインとかふわりとか。
こういうのは多分俺のクセですね。
誰も気づきはしないと思うんだけど。
地味にこのコード進行はLUNKHEADの200曲ある中でも一度も使ってこなかった。
赤も星が輝いていたも今まで使ってこなかったコード進行を使っている。
これは自分の中でとても大事で
LUNKHEADらしさを残した上で新しいLUNKHEADを産み出す
もうずっとその繰り返しです。
続けるってほんと茨の道です。
新しい何か、新しい何かを追い求める旅
だけどもとても良い曲ができた!!と確信して
自信を持ってメンバーにデモを送って
メンバーからの反応もそれは確かなものでした。
そういうのはわかるものです。
全体的に疾走感を意識していたので
ちょっとフックをつけたいと思って間奏は8分の6拍子にしてみたら
これが結構ハマってよかった。
浮遊感というか、いい感じの箸休め感というか。
デモの段階では適当にギターフレーズを入れたけど
壮が気に入ったのかどうなのか
結局デモ通りのアレンジになった。
リフもデモ通り。
これは本当に壮の気分次第なところでもある。
あ、この曲はデモ通り弾くんだ。あ、これは変えるんだ。みたいな。
絶対これで弾いてくれ!!みたいな時もあるけど
(そういう時は言わなくてもだいたい伝わる)
基本的には任せちゃってる。
それがバンドだと思うので。
悟に至っては…
もうドッグラン状態ですよね。
そんな感じで、ほぼほぼデモの構成のままアレンジが進んでいった。
桜井さんは最後までAメロのアレンジを悩んでたけど。
イケイケの時はイケイケでいけばいいんだけど
逆にヒュッと静かになる部分は引き算で迷うみたい。
スネア1発入れるのか入れないのか、キックは、ハイハットは
正解なんてないから、迷いだすとキリがないから
どこかで線を決めるしかないんだけど。
歌詞はもうテーマが決まっていたので
割と迷わず書けたと思う。
知っている人は知っているかもしれないけど
俺は公園が好きで
近所に行きつけの公園のベンチがある。
その公園は近隣の皆様の憩いの場で
昼は向かいの保育園の子どもたちや
下校した小学生で賑わっていて
休日にはママ友集団がシートを敷いて輪になって
ピクニックをしていたりもする。
だけども夜は静かだ。
小さな滑り台があって、砂場があって
ビヨンビヨンするキリンみたいなのがあって
本当にささやかな公園だけど
俺はそこのベンチが世界一好きなのだ。
そしたらぞわぞわぞわっと物語が浮かんできて
まあ半分は、こういう青春したかったみたいなところもあるけど
そんな思いも込めたりして歌詞が書けた。
4分息を止めれば死ねる。
いざとなればいつでも死のうと思えば死ねる。
それは救いでもある。
生きていくのは虚しい。
だけど
でも、意味なんか要らない
ただ生きていて欲しい
無責任だけどもね。
40過ぎたおじさんが10代の心情を歌っても共感されない
みたいなこと言われてたけど
俺はもう、娘のことしか歌詞にできなくなっちゃったので仕方ない。
自分自身、もういつ死んでもいいと思っているので
矛盾しちゃってるんだけど
みんな長生きして欲しい。
幸せになって欲しい。
心の底から思ってるんです。
俺は長生きしたくないんだけど。
でも身勝手だけどみんなにはいきてて欲しい。
幸せになって欲しい。
ほんとに身勝手な願いです。
今、LUNKHEADのライブに来てくれる人は
正直言うととても少ない。
少々人気があった頃の半分以下かもしれない。
だけども来てくれる人はすべからくめちゃくちゃ楽しそうだ。
ああ、この人たちに幸あれ、幸あれといつも祈ってる。
ライブにはなかなか行けないけど遠くから祈ってるって手紙も届く。
わざわざ事務所に送ってくれるのだ。
今俺らは本当にギリギリでやっているけど
日本中に味方がいるんだなと実感する。
いつまで続けていけるのかわからないけど
そういうすべての人への思いを込めて歌える曲を作れたことが嬉しい。
みんな、いつかは10代だったからね。
スタジオでアレンジを練っている時
4分くらいなら海女さんとか余裕で息止められんじゃないの?
とメンバーに言われて
ほんま台無しって思った。
それは訓練されたプロやろ~